世界チェス選手権2024のタイトルスポンサーを務めるGoogleが、画像生成AI「Imagen 3」を活用した新しいチェスゲーム「GenChess」を公開した。プレイヤーは自由なテーマでチェスの駒をデザインでき、AIが対戦相手の駒も自動的に生成する独創的な機能を特徴としている。
AIによる駒のカスタマイズ機能
GenChessではプレイヤーがテキストプロンプトを入力することで、Imagen 3が独自のチェス駒セットを生成する。たとえば「寿司」や「山登り」といったテーマを指定すると、AIがそれに合わせた駒のデザインを作成する。プレイヤーは「クラシック」と「クリエイティブ」の2つのスタイルから選択でき、個々の駒のデザインを細かく調整することも可能だ。また、プレイヤーの駒のテーマに呼応して、AIが対戦相手の駒も自動的にデザインする仕組みとなっている。
筆者も試してみたところ、版権的にちょっとまずいのでは?と思えるような駒が複数できてしまったが、ここら辺の権利関係がどうなっているのかは不明だ。
それはさておき、ゲーム自体は至って普通のチェスとなっている。ただし、GenChessを利用するにはGoogleアカウントでのログインが必要だ。ゲームでは難易度を3段階(易しい、中級、難しい)から選択でき、対局時間も5分3秒加算や10分切れ負けの2種類から選べる。インターフェースはアイソメトリック視点がデフォルトだが、設定で一般的なチェスアプリと同様のトップダウン視点に変更することも可能となっている。ただし、過去の手の確認や取られた駒の表示といった機能は実装されていない。
Googleのチェス関連施策
この発表は、現チャンピオンのDing Lirenが18歳のGukesh Dommarajuに対して王座防衛戦に臨む世界チェス選手権2024の開幕に合わせて行われた。Googleは同大会に関連して、国際チェス連盟(FIDE)とのパートナーシップによるAIチェスエンジン開発コンテストの開催や、Geminiアプリ内でチェスAIと対戦できる「Chess Gem」の12月リリースなど、複数のチェス関連プロジェクトを展開している。
Xenospectrum’s Take
GenChessは一見シンプルな実験的プロジェクトだが、GoogleがAI技術をゲームという親しみやすい形で一般ユーザーに提供する戦略的な一手と見ることができる。特にImagen 3の創造性をチェスという伝統的な知的ゲームと組み合わせることで、AIの実用的な応用可能性を示すことに成功している。ただし、基本的なチェスアプリとしての機能面では改善の余地が大きく、今後のアップデートが期待される。また、この試みがチェスというゲーム自体の魅力向上にどれだけ貢献できるかは、まだ未知数といえるだろう。
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