次世代GPUシリーズArc Battlemageの発売を控えるIntelが、その後継となるCelestialおよびDruidシリーズの開発を継続していることが明らかになった。情報筋によると、これらの次世代GPUは当初の計画通りに開発が進められているという。
Battlemageの市場投入と将来計画
IntelはArc Battlemageシリーズの主力製品となるB580モデルの市場投入を間近に控えている。価格設定については、12GBモデルで250ドル前後となる見込みで、NVIDIA RTX 4060およびRTX 4060 Tiと同じ価格帯をターゲットとしたものだ。業界関係者によると、この価格帯でRTX 4060 Tiと同等もしくはそれを上回る性能を実現できれば、予算重視のユーザー層から大きな支持を得られる可能性があるという。
しかし、Intelの戦略には明確な方向性の変更も見られる。特筆すべきは、ノートPC向けのディスクリートGPU開発からの撤退だ。情報筋によると、Battlemageシリーズ以降、CelestialやDruidを含むすべてのモバイル向け個別GPUの開発計画が中止されている。この決定は、デスクトップGPU市場への経営資源の集中を示唆している。
Moore’s Law Is Deadの以前のリークによると、IntelのデスクトップGPU事業の将来はBattlemageの成功にかかっているとされていた。同情報筋は、Battlemageが市場で期待された影響を与えられなかった場合、現在開発中の唯一のArc Celestialダイがキャンセルされる可能性があると指摘していた。しかし、リーカーのJayKihn氏による最新の情報では、CelestialとDruidの開発が「これまで通り計画的に」進められていることを確認している。つまり、IntelがBattlemageの市場での成績に関わらず、デスクトップGPU市場への参入を本格的に推し進める意向のようなのだ。
将来の展望として重要なのは、IntelがGPU開発において段階的な技術進化を計画していることだ。現行のBattlemageがXe2-HPGアーキテクチャを採用しているのに対し、次世代のCelestialではXe3アーキテクチャへの移行が予定されている。Intelは長期的な視点でGPU市場での競争力強化を目指しているようだ。
次世代アーキテクチャへの展望
Arc Celestialの市場投入は2025年から2026年初頭に予定されているが、この時期はIntelの次世代CPU、Panther Lakeの発売時期と戦略的に同期したものだ。これは偶然ではなく、両製品がIntelの最新の3nmプロセスノードを採用するXe3グラフィックスアーキテクチャを共有することが背景にある。具体的には、Panther LakeのP、U、Hシリーズに統合されるiGPUタイルで採用される同アーキテクチャが、Arc Celestialでも中核技術として実装される予定だ。
アーキテクチャの進化という観点では、現行のBattlemageで採用されるXe2-HPGアーキテクチャからXe3への移行は、単なる世代交代以上の意味を持つ。Xe3アーキテクチャは、より微細な製造プロセスを活用することで、電力効率と演算性能の両面での向上が期待される。特に、統合GPUとディスクリートGPUで同一アーキテクチャを採用する戦略は、開発リソースの効率的な活用とドライバーの最適化の観点から重要な意味を持つ。
さらにその先を見据えたArc Druidについては、現時点で具体的な技術仕様は明らかにされていないものの、開発の継続が確認されている。業界専門家の間では、DruidがXe3アーキテクチャをさらに発展させた次世代設計を採用するのではないかとの見方が強い。この段階的な技術進化の計画は、Intelがグラフィックス市場での長期的な競争力確保を目指していることを示している。
また注目すべきは、これらの次世代GPU開発がIntelの半導体製造プロセスの進化と緊密に連携している点である。3nmプロセスノードの採用は、性能向上だけでなく、製造効率の改善にも寄与すると期待される。この製造技術の進化とアーキテクチャの革新の組み合わせが、IntelのGPU事業における競争力の源泉となる可能性が高い。ただし、現在のIntelが直面している様々な経営課題を考慮すると、これらの野心的な開発計画の実現には不確実性が伴うことも事実だ。
Xenospectrum’s Take
Intelの継続的なGPU開発への投資は、長期的な市場戦略の表れといえる。しかし、現在のIntelが直面している経営課題を考慮すると、これらの開発計画の実現には不確実性が伴う。特にBattlemageシリーズの市場での成功が、今後の開発継続の鍵を握ることになるだろう。皮肉なことに、ノートPC向けGPUの開発中止は、むしろデスクトップ向け製品への集中投資を示唆している。AMDとNVIDIAが支配するGPU市場に、Intelがどこまで食い込めるか、そもそもIntelは存続できるのか、今後も目が離せない展開になりそうだ。
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