Samsung Foundryは、現在世界で唯一Gate All Around(GAA)FETによるチップ製造を行っているが、同社がこれを達成したのは2022年の事であり、2024年の現在、次世代のGAAに取り組んでいる事は間違いない。Business Koreaの新たな報道によれば、Samsungの次世代GAAに基づく2nm半導体チップ(SF2)の量産は来年に計画されており、2024年6月16日から20日まで米国ハワイで開催される「VLSI Symposium 2024」で、2nmチップに使用される第3世代GAA技術に関する論文を発表すると伝えられている。
GAAは、チップが小型化するにつれて問題になってくる電流フローと電力効率を改善する新しいタイプのトランジスタ設計である。Samsung FoundryはTSMCやIntelに先駆け、これを第1世代3nmプロセス・ノード(SF3E)で導入した。しかし、そうした最先端技術を取り入れたにもかかわらず、SamsungはまだAMD、Apple、MediaTek、NVIDIA、Qualcommと言った主要な契約を勝ち取れていない。Business Koreaは、その原因について、2022年と2023年の世界的な景気後退、高い製造コスト、最先端技術に興味を持つ限られた顧客にあるとしている。また、Samsungが歩留まりで苦戦していることも大きな要因の1つであろう。
だがSamsungは諦めてはいない。同社は今年、第2世代の3nm GAA設計(SF3)を開発し、2025年に予定されている2nmプロセス用の第3世代設計に移行すると報じられている。IntelもTSMCもごく近い将来、GAAトランジスタに移行する。Intelは2024年にIntel 20Aを、TSMCは2025年に2nmを発表する予定であり、Samsungはこの数年の先行投資によって、ライバルがこの争いに加わったときにかなりのアドバンテージを得られることを期待している。
Samsungの第1世代3nm GAAチップは、同ファウンドリーの5nmプロセスで製造されたチップと比較して、16%の面積削減、23%の性能向上、45%の電力効率向上を示している。第2世代の3nmプロセスでは、チップ面積が35%縮小し、性能が30%向上し、電力効率が50%改善すると推定されている。2nmチップに採用される第3世代GAAは、3自社の3nm GAAや他社の3nmチップと比較して、面積が50%縮小し、性能が50%向上すると報告されている。
Business Koreaの報道によると、Samsungは技術的な限界を押し広げるだけでなく、2nmクラスの製造プロセスのエコシステムを強化している。同社は50社以上の知的財産(IP)パートナーと協力し、4,000以上のIPタイトルを保有している。また、SamusungとArmは今年初め、Cortex-XおよびCortex-AコアをSamusungのGAAトランジスタベースの製造技術向けに共同最適化する契約を締結した。
SamusungのSF2プロセス技術の設計基盤の開発は2024年第2四半期に完了すると言われており、この時期に同社のチップ開発パートナーは生産ノード向けの製品設計を開始できるようになる。
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