Googleはリモートワークには否定的なようだが、これを実現する技術自体は否定しておらず、むしろ積極的に開発を行っている。
同社は2021年に開発を発表した、3Dモデルを投影することで、実際に目の前に対話者が存在しているかのように感じられる次世代ビデオコミュニケーションテクノロジーの「Project Starline」がHPとの提携により実際に製品化されることになったと発表した。
ビデオ会議を一変させる“魔法の窓”
Project Starlineは、2021年のGoogle I/Oで初めて発表された。これは、VR/ARグラスに頼ることなく、写実的で立体的な体験を作り出す“魔法の窓”を通して、ビデオ通話に革命を起こすことを目指すものだ。その体験は、あたかも目の前にその人がいるように錯覚するほどのもので、有名テクノロジー系YouTuberのMKBHD氏は、この体験を「ビデオ会議を一変させる可能性」と賞賛している。
Project Starlineは遠隔地との対話を、対面での会話と同じように自然に感じられるように設計されたビデオ会議システムだ。それはまるで“魔法の窓”のような効果を作り出し、ユーザーは、あたかも物理的に同じ部屋にいるかのように話したり、ジェスチャーをしたり、アイコンタクトを維持したりすることができる。
Googleは、広範なテストにより、Project Starlineが従来のビデオ通話と比較して、注意力、記憶の想起、全体的なプレゼンス(存在感)を向上させる能力があることが実証されたとしている。
同社は、Starlineは標準的なビデオ会議と比較して、2分間に2-3回、会話の順番が増えるとしている。さらに、手のジェスチャーが43%増加、頭のうなずきが26%増加、眉の動きが49%増加するなど、非言語的な合図がより多く見られるという。
ただし、このシステムは2021年の開発発表時から大分簡素化されたようだ。当時搭載されていたホログラフィック投影技術やビデオブースと言った大がかりなシステムは省略され、大型テレビとカメラを備えたシステムに移行した。HPはこれを「没入型コラボレーション体験」と呼んでいるが、結局のところ、これはただの大きなディスプレイであり、高度な3D画像処理とAIを組み合わせて、没入感を演出しているようだ。
GoogleはHPと提携し、2025年までにProject Starlineを商業化し、Google MeetやZoomといった人気のビデオ会議プラットフォームに統合する計画だ。コンピューティングの専門家として知られるHPとの提携により、さまざまな業界でStarlineの導入が加速することが期待される。
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