Intel Vision 2024のメイン基調講演で、CEOのPat Gelsinger氏は、コードネーム「Lunar Lake」こと、次期Core Ultra 200Vプロセッサーシリーズの詳細を発表した。Gelsinger氏によれば、Core Ultra 200VシリーズはAIワークロードで100TOPS以上の性能を発揮し、そのうちNPUのみで45TOPSスループットを実現すると主張し、現行世代からの大幅なAI性能アップを予告した。
Lunar LakeはMeteor Lakeの3倍のAI性能を持つ
Lunar LakeはノートPCなどの低消費電力セグメントをターゲットにしており、Lion CoveおよびSkymontアーキテクチャコアが搭載される。Lunar Lakeは、Arrow Lakeシリーズ(Core Ultra 200ラインアップの一部)と共に提供され、同じCPUアーキテクチャを共有するが、GPUの性能は異なる。Core Ultra 200Vは、Battlemageの低電力版であるXe2-LPGアーキテクチャを採用する一方、Arrow Lakeは、Core Ultra 100「Meteor Lake」で見られるXe-LPG(Alchemist)アーキテクチャを維持する予定だ。
Gelsinger氏はプレゼンテーションの中で、Lunar Lakeは次世代AI PCの「フラッグシップSoC」になると述べている。同社によれば、Lunar Lakeは現在のMeteor Lake SoCの3倍のAI性能を持つとのことだ。現在、Intel最新のMeteor LakeはNPU、GPU、CPUを合わせて34TOPS程度で動作すると推定されている。Meteor Lake内のNPUを考慮すると、34のTOPSのうち11がNPUのみによるものだろう。
ちなみに、Microsoftは“AI PC”を、少なくとも45TOPSのNPU性能を提供するデバイスと定義している。AI PCは、電力効率に優れたオンデバイスAIアクセラレーションとローカル推論を提供する専用のニューラル・プロセッシング・ユニット(NPU)を備えていなければならない。つまり、上記の定義に照らせば、Meteor Lake搭載PCはAI PCの要件を満たしてはいないのだ。
AMDは次期Strix Pointプラットフォームが先行製品よりも高速なAI処理をもたらすと主張している。Tom’s Hardwareへの声明の中で、同社の広報担当者は、XDNA 2アーキテクチャを採用したStrix Pointチップは、”現世代の最大3倍の生成AI性能を持つ”と述べていた。
IntelやAMDと並んで、Qualcommもまた、今年後半に主要PCベンダーのノートPCに搭載される予定のSnapdragon X EliteチップでAI PCを大々的にアピールしている。Qualcommによると、これらのArmベースのチップは、NPUだけで45TOPSを含む合計75TOPSのAI性能を提供する予定だ。
Qualcommは公式に、Snapdragon X EliteはCore Ultra 9 185HおよびCore Ultra 7 155HのMeteor Lakeモバイル・プロセッサよりも高速になると主張しており、最近のベンチマークもその主張を裏付けているようだ。
Intel、AMD、Qualcommの次世代チップが、各社が主張するようにAIワークロードにおいて強力であることが判明した場合、これらすべてのチップを搭載したデバイスは、MicrosoftのAI PCの条件である、45TOPS以上の性能を有することになるはずだ。ノートPCの購入者のうち、どれだけの人がノートPCにAI機能を求めているかはすぐにはわからないが、望むと望まざるとにかかわらず、今後数カ月はPCベンダーにとってAI性能のアピールが最重要事項になるだろう。
ただし、これはそうしたAI性能をそこまで重視していないユーザーにとっては歓迎すべきではないかも知れない。最近の噂では、AMDやIntelがNPU性能を確保する為にCPUやiGPUの性能に直結するコア数やキャッシュを減らす必要があり、結果的に性能向上が小幅になっている可能性が指摘されている。
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