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NVIDIA RTX 5090、744mm²の巨大GB202チップ搭載で歴代最大級のゲーミングGPUに

Y Kobayashi

2024年11月23日

NVIDIAの次世代フラッグシップGPU「GeForce RTX 5090」に搭載されるGB202チップが、744平方ミリメートルという巨大なダイサイズを持つことが明らかになった。これは現行のRTX 4090のAD102チップと比較して22%大きく、2018年以降で最大のコンシューマー向けGPUとなる見込みだ。

史上最大級のダイサイズが示唆する技術的進化

著名なハードウェアリーカーであるMEGAsizeGPUの報告によると、RTX 5090向けのGB202 GPUは24×31ミリメートルのダイサイズを持ち、パッケージサイズは64×56ミリメートルに及ぶとのことだ。この3528平方ミリメートルのパッケージサイズは、RTX 4090の2601平方ミリメートルから35%の増加を示している。注目すべきは、パッケージサイズにはダイ本体に加えてキャパシタやレジスタ、その他の構造材料も含まれているという点だ。

製造プロセスに目を向けると、GB202チップはTSMCの4NPプロセス(5nm)を採用している。これは現行のRTX 4000シリーズで使用されている4Nプロセスの拡張版で、理論上は30%の密度向上が見込まれている。しかし、744平方ミリメートルというダイサイズは、半導体製造におけるリソグラフィのレティクルサイズ制限である約850平方ミリメートルに迫る大きさとなっている。

興味深いのは、このGB202チップが2018年以降で最大級のコンシューマー向けGPUとなる一方で、絶対的な記録は依然としてTuring世代のTU102(RTX 2080 Ti)が保持し続けることだ。TU102は本リークによれば、GB202よりもわずか10平方ミリメートル大きい。この事実は、半導体製造技術の進化と設計の複雑さのバランスを如実に物語る物だ。

なお、NVIDIAは通常、冗長性を考慮してGPUを設計している。そのため、完全に有効化されたダイは主にデータセンターやプロフェッショナル向けGPUに割り当てられ、RTX 5090では192SMのうち170SMのみが有効化される見込みである。この88%という有効化率は、現行のRTX 4090と同じ比率だ。これはNVIDIAが世代を超えて一貫した製品戦略を維持していることを示唆する物と言えるだろう。

ただし、このような巨大なダイサイズは、シリコンウェハーあたりの製造可能なチップ数を制限し、必然的に製造コストの上昇につながる。これは最終的に消費者価格にも影響を及ぼすことが予想され、特にRTX 5080との価格差が従来以上に広がる可能性もありそうだ。

強力な性能を示唆する仕様詳細

GB202チップの詳細な仕様からは、NVIDIAの次世代フラッグシップGPUが持つ圧倒的な性能ポテンシャルが垣間見える。前述したように、完全なGB202チップには192個のストリーミングマルチプロセッサ(SM)が搭載されるが、RTX 5090ではそのうち170SMが有効化される。これにより実装されるCUDAコア数は21,760基となり、現行のRTX 4090と比較して33%の増加だ。この選択的な有効化は、チップの歩留まりを考慮した戦略的な判断といえる。

メモリシステムにも大幅な強化が施される。RTX 5090は32GBのGDDR7メモリを採用しており、これは現行モデルの24GBから33%の容量増加を意味する。512ビットという広大なメモリインターフェースを介して、最大1,792GB/sというこれまでにない規模のメモリ帯域幅を実現する。さらに、拡張されたL3キャッシュと新しいメモリ圧縮技術の採用により、実効的な帯域幅はさらに向上すると見られている。

電力管理の面では、TBP(Total Board Power)が600Wと設定される見込みだ。これも現行のRTX 4090から33%の増加となるが、NVIDIAは実際のゲーミング時の消費電力がこの定格値を大幅に下回ることを示唆している。冷却設計については、Founders Editionモデルで2スロット厚のクーラーが採用されるとの情報もあり、効率的な熱設計が行われていることが推測される。

特筆すべきは、RTX 5080との仕様差だ。RTX 5080は84SMという大幅に少ないSM数で設計されており、このことからダイサイズもGB202の約半分になると予想される。メモリ構成も16GB GDDR7、256ビットインターフェースと、上位モデルの半分の規模だ。ただし、メモリクロックは32Gbpsと、むしろRTX 5090の28Gbpsを上回る仕様となっている点が興味深い。

発売時期については、Jensen Huang CEOがCES 2025でRTX 5090とRTX 5080を同時発表する見込みだ。その後、第1四半期中にRTX 5070およびRTX 5070 Tiが、さらにその後にRTX 5060シリーズが順次投入される計画となっている。この段階的な製品投入戦略は、高性能な次世代GPUの製造における技術的・物理的な制約を反映したものと考えられる。

Xenospectrum’s Take

この巨大なダイサイズは、シングルダイ設計の物理的限界に近づきつつあることを示唆している。データセンター向けBlackwell B200チップではマルチチップレット設計を採用しているが、コスト面の制約からデスクトップ向け製品では採用が見送られた形だ。このまま大型化が続けば、次世代以降でコンシューマー向けGPUもマルチチップレット設計への移行を余儀なくされる可能性が高い。また、この巨大なダイサイズは製造コストの上昇を招き、RTX 5080との価格差が例年以上に開く可能性も考慮すべきだろう。2025年のCESでの発表が予定されているが、その価格設定には業界の注目が集まることは間違いない。


Sources

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