Samsungは半導体需要の今後の高まりを見越し、テキサス州テイラーに建設予定の大規模半導体施設への投資を440億ドルへと大幅に増加させる意向であることがWall Street Journal紙によって報じている。この投資拡大の背景は、テキサス州テイラーに新たに別の最先端工場を建設し、R&D業務を拡大する計画に基づくものの様だ。
Samsungが計画している全く新しい半導体ハブには、すでに発表されている170億ドルの最先端チップ生産施設が含まれ、さらにもう1つの工場モジュール、先端パッケージング施設、研究開発センターが追加される。最初のファブに隣接する2番目のファブモジュールは200億ドル以上かかると予測されており、Samsungがいかにこの地域に賭けているかが見て取れる。
とはいえ、これだけの多額の投資はSamsungにとっても負担の大きい物であり、同社は米国CHIPS法に基づき、米国政府から多額の資金援助を受けると予想されている。CHIPS法による支援の総額はまだ明らかになっていないが、Samsungはこの資金を単独で受け取る最大の企業のひとつとなる見込みだ。
CHIPS法により、米連邦政府は多くのハイテク企業に資金援助と融資を行い、国内支出を奨励している。2月、多国籍半導体企業のGlobalFoundriesは、16億ドルの融資に加え、米国での大規模な事業拡張のために15億ドルの助成金を受け取った。GlobalFoundriesはニューヨーク州マルタに新たな製造施設を建設する予定で、自動車、航空宇宙、防衛、AI産業向けのチップ製造を手がける。
さらに最近、Intelはこれまでで最大のCHIPS助成金を受け、米国を拠点とするさまざまな事業を継続するために最大85億ドルを獲得した。現在の計画では、Intelはこの資金を、AIやその他の高度なアプリケーションで使用される最先端の半導体チップを製造する工場の建設に充てる予定だ。同社はアリゾナ州に2つ、オハイオ州に2つの製造施設を新設する。さらに、ニューメキシコ州にある既存の工場2カ所を近代化し、オレゴン州の1カ所を拡張するために資金を使う予定だ。合計すると、Intelは米国を拠点とするチップ製造に1000億ドルを投資することになる。さまざまなプロジェクトにより、2万人の建設雇用と1万人の製造雇用が創出される見込みだ。
Samsungは公式にはテキサス州での投資拡大計画を明らかにしていないが、WSJの関係筋によると、Samsungは2024年4月15日に追加投資のお披露目式典を行う予定だという。
インフレや人件費、材料費の高騰といった課題に直面しながらも、同社はアメリカでの計画を進めており、順調にいけば2024年に最初の工場が量産を開始する予定のようだ。
チップ生産に加え、SamsungはAIコンピューティングに不可欠な高帯域幅メモリー(HBM)にも注力している。同社はまた、データ処理速度を向上させるため、2.5次元や3次元パッケージングなどの高度なパッケージング技術にも投資している。これらの技術的進歩は、急速に進化する半導体業界においてSamsungの競争力を維持するために不可欠である。
Source
- The Wall Street Journal: Samsung Doubles Down on Texas as U.S. Chip Center
コメント