2024年が観測史上最も暑い年となることがほぼ確実になった。欧州連合の「コペルニクス気候変動サービス」(C3S)が発表したデータによれば、今年は地表気温と海面温度のいずれも歴史的な記録を更新し、地球温暖化が進行していることを示している。この事実は、11月末に開催されるCOP29気候変動会議に向けて、各国の政策強化を求める声を一層強めるものとなっている。
記録的な温暖化傾向:気温と海面温度の上昇
2024年の地球全体の平均気温は、産業革命以前の水準よりも約1.62℃高く、このままの状態が続けば、今年は1.5℃の重要な閾値を初めて超える年となる見込みである。この1.5℃は、気候変動による深刻な環境影響を避けるためにパリ協定で設定された目標値であり、この超過は「気候危機が現実のものとなっている」ことを強調している。
特に10月は、過去最高だった2023年に次ぐ、観測史上2番目に暑い10月となり、平均気温は1991年から2020年の基準よりも0.80℃高かった。また、海面温度も10月時点で過去2番目に高い水準にあり、世界の多くの地域で平均を大きく上回る温度を観測している。このような海洋温暖化は、天候パターンに影響を与え、異常気象や台風の頻度を増加させる要因ともなっている。
地域ごとの温暖化影響:変動する気候と自然災害
温暖化の影響は地域によって異なり、今年の秋にはヨーロッパや北米、アジアの一部で顕著な温度上昇が見られた。ヨーロッパでは10月の平均気温が平年よりも1.23℃高く、北部では特に高温が続いた。一方で、グリーンランドやアイスランドなどでは平均を下回る気温が記録されるなど、一部の地域では例外も見られた。
北極海の海氷面積は平均を19%下回り、10月として観測史上4番目に小さい規模となった。南極の海氷も同様に深刻な状況で、平均を8%下回る観測史上2番目に小さい面積を記録した。この両極における氷の減少は、全球的な海面上昇や気象パターンの変化を加速させる要因となっている。
温暖化の進行は、自然災害の頻度と強度を増加させている。スペインのバレンシア地方では豪雨が発生し、200人以上が命を落とす洪水災害が発生した。アメリカ合衆国の一部では干ばつが続いており、農業生産や水資源への影響が懸念されている。このような極端な気象パターンの変動は、気候変動がもたらす不安定な環境の現れといえる。
2024年の温暖化記録が示す「警告」と行動の必要性
2024年が1.5℃の閾値を超える最初の年になる可能性が高いことを受け、気候科学者たちは「緊急の行動が必要である」と警鐘を鳴らしている。C3Sの副所長であるサマンサ・バージェス氏は「これは気温記録における新たな節目であり、COP29での対策強化を促す重要な契機となるべきだ」と述べた。COP29では、温暖化の進行を抑えるための具体的な目標設定と取り組みが求められている。
今年の気温記録と環境変化は、気候変動対策の遅れがもたらすリスクを改めて浮き彫りにしている。科学的な証拠は明白であり、現状維持のままでは、さらなる温暖化による環境破壊や生態系の崩壊、人命に関わる災害が避けられない可能性がある。
Xenospectrum’s Take
気候変動の影響が一段と顕在化する中で、2024年の異常気象は決して一過性のものではなく、地球規模の気候変動の「新たな常態」を示している。今後は、気候変動への適応と温室効果ガスの削減を同時に進める政策が求められる。特に、エネルギーシフトの加速と、異常気象への備えを強化するインフラの整備が不可欠である。また、COP29での取り組みが象徴するように、各国が国際的な連携を深め、持続可能な未来を築くための大胆な行動を取ることが、地球全体の利益に寄与する道筋となる。
Source
- Copernicus Climate Change Service: The year 2024 set to end up as the warmest on record
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