誰もが自由に運用が出来るオープンな地図データセットの開発を目指して設立された「Overture Maps Foundation」は本日、グローバル・オープン・マップ・データセットの最初のベータ版を発表した。
「このベータ版リリースは、複数のオープンデータソースを統合し、いくつかの検証テストを経て、新しいスキーマでフォーマットされ、他の空間データを添付できる実体参照システムを備えています。 これは、アプリケーションですぐに使えるデータを提供することで、オープンな地図データにとって大きな前進です」と、Overture Maps Foundationのエグゼクティブ・ディレクターであるMarc Prioleau氏は述べている。
Overture Maps Foundationは2022年にLinux Foundationの傘下として、「アプリケーションやビジネスにわたって使用・再利用できるオープンなデータセットを通じて、新しい地図製品を生み出すこと」を目的に設立された。当時、Linux Foundationのエグゼクティブ・ディレクターであるJim Zemlin氏は、「物理的環境と世界中のすべてのコミュニティをマッピングすることは、たとえそれらが成長し変化しても、1 つの組織では管理できない非常に複雑な課題です。すべての人の利益のために、産業界が一丸となってこれを行う必要があります」と述べ、多くの企業にこの事業への参加を呼びかけていた。
Overtureのステアリングメンバーには、Amazon、Meta、Microsoft、TomTomが名を連ねている。その目的は上記の他に、オンライン地図のデファクトスタンダードであるGoogle Mapsに対抗するという事にもあるだろう。
あれから2年、Overtureの会員企業のいくつかは、すでにそのデータを自社のアプリケーションに統合し始めている。同財団によれば、Metaは地図ソリューションにOvertureのデータを使用し、MicrosoftはBingマップにカバレッジを追加するためにOvertureのデータを採用している。
Overtureのデータセットには、5,400万の名所、23億の建物、道路、歩道、その他の交通インフラ、行政境界線、土地と水のデータを含むコンテクスト・ベースレイヤーの5つのベースレイヤーがベータ版リリースに含まれている。
とはいえ、オープンソースの地図データとしては既に、OpenStreetMap(OSM)が存在している。そんな中、なぜ業界がOverture(実際にデータセットの一部としてOSMデータを使用している)のようなプロジェクトを必要とするのだろうか。
「Overtureはデータ中心の地図プロジェクトであり、個々の地図編集者のコミュニティではありません。OvertureはOSMを補完するものです。私たちはOSMを他のソースと組み合わせ、新しいオープンな地図データセットを作成します。Overtureのデータは、互換性のあるオープンデータライセンスのもと、OSMコミュニティが利用できます。OvertureのメンバーはOSMに直接貢献することが推奨されます」と、OvertureのFAQページでは触れられている。
Sources
- Overture Maps Foundation: Overture Maps Foundation Releases Beta of Its First Open Map Dataset
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