OpenAIが11月1日にリリースした「ChatGPT Search」のChrome拡張機能が、Chromeのアドレスバーからのすべての検索をGoogle検索からChatGPT searchへと強制的に切り替える仕様であることが判明した。この過激とも言える実装方法は、検索市場でのGoogle対抗を鮮明に打ち出すものである。
ChatGPT Searchとは何か
ChatGPT searchは、OpenAIが正式発表した新しいAI検索機能である。AIモデルとWeb検索情報を組み合わせ、自然言語による会話形式で迅速かつタイムリーな回答を提供する。スポーツのスコア、ニュース、株価など、最新の情報を必要とする検索において、従来の検索エンジンのような複数回のアクセスを必要とせず、一度の問い合わせで必要な情報を得られることが特徴である。
物議を醸す拡張機能の仕様
OpenAIがChrome Web Storeで公開した「ChatGPT search」拡張機能は、インストールすると以下の動作を行う:
- Chromeのデフォルト検索エンジンを強制的にChatGPT Searchに変更
- アドレスバーからの全検索クエリを「https://chatgpt.com/?q=」へリダイレクト
- Google検索の完全な排除
サイバーセキュリティ研究者のTal Be’ery氏は、この拡張機能について「一般的な検索ハイジャッカーと変わらない」と指摘している。OpenAIのCEOであるSam Altman氏は自身のXアカウントで「ChatGPT Plusに加入してこの拡張機能を導入すべきだ」と推奨しているが、ユーザーの選択の自由を制限する実装方法に対して懸念の声が上がっている。
代替手段の存在
重要な点として、この拡張機能を使用せずともChatGPT Searchを利用する方法が存在する。以下の手順でChromeに新しい検索エンジンを手動で追加することが可能である:
- 設定 > 検索エンジン > 「検索エンジンとサイト内検索の管理」を開く
- 「サイト内検索」までスクロールし、「追加」をクリック
- 以下の情報を入力:
- 名前:ChatGPT Search
- ショートカット:@cgpt
- URL:https://chatgpt.com/?q=%s
この方法であれば、必要に応じて検索エンジンを切り替えることができ、より柔軟な使用が可能となる。
ChromeのChatGPT search拡張機能は、実際のところショートカットでアドレスバーによる検索クエリの送信先を切り替えるだけの機能しかないため、ショートカットを作成してそれで対応出来るのならばそれに越したことはない。Chromeは拡張機能の増加でブラウザのリソースがより多く消費され、動作が不安定になる可能性があるからだ。
Xenospectrum’s Take
OpenAIの今回の施策は、検索市場におけるGoogleの独占的な地位に対する直接的な挑戦と解釈できる。しかし、ユーザーの選択権を制限する強引なアプローチは、プライバシーやセキュリティの観点から問題をはらんでいる。
特に懸念されるのは、将来的な機能追加によってプライバシーに関わる問題が発生する可能性だ。Chrome拡張機能は常にセキュリティリスクを伴うものであり、現時点で無害であっても、アップデートによって状況が変化する可能性は否定できない。
現在のところ、この機能はChatGPT PlusとTeamユーザー向けにテスト提供されており、今後数週間から数ヶ月かけて一般ユーザーにも展開される予定である。しかし、ユーザーはGoogle検索とChatGPT Searchを状況に応じて使い分けられるような、より柔軟な実装を望んでいるのではないだろうか。今後のユーザーフィードバックと、OpenAIの対応が注目される。
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