Googleは2024年、Android 15の第2四半期リリース(QPR2)Beta 1の提供を開始した。最も注目すべき変更点は、Pixel 6以降の全Tensorチップ搭載デバイスにおけるLinuxカーネルの大規模アップグレードだ。この更新により、異なるバージョンが混在していた状況から、統一されたLinux 6.1カーネルへの移行が実現される。
カーネルアップグレードの詳細
従来、Pixel端末のカーネルバージョンは機種によって異なっていた。Pixel 6シリーズがLinux 5.10、Pixel 8シリーズがLinux 5.15を採用していたが、今回のアップデートですべてのデバイスがLinux 6.1に統一される。
具体的な更新対象機種:
- Pixel 6/6 Pro/6a:5.10 → 6.1
- Pixel 7シリーズ:5.10 → 6.1
- Pixel 8シリーズ:5.15 → 6.1
- Pixel Tablet/Fold:5.10 → 6.1
なお、Pixel 9シリーズは既にLinux 6.1を搭載しているため、今回のカーネルアップデートの対象外となる。
カーネルアップデートの意義と影響
このカーネルアップグレードは、Googleが掲げる7年間のアップデート保証を実現するための重要な基盤となる。新しいAndroidバージョンがリリースされるたびに変更される認証要件に対応するため、カーネルの更新は不可欠だ。
また、統一されたカーネルバージョンの採用により、Googleのデバイスメンテナンス効率が大幅に向上することが期待される。これは、将来的なセキュリティアップデートやシステムアップデートの提供をより効率的にする可能性を秘めている。
[前述の内容は同じ]
Modesシステムの大幅刷新
Android 15 QPR2では、「おやすみモード(Do Not Disturb)」機能を含む新しい「モード」システムが導入される。これは通知やディスプレイの設定をより柔軟にカスタマイズできる包括的な機能として生まれ変わった。
主な特徴
- 設定アプリ内に新設された専用メニュー「モード」から設定可能
- クイック設定パネルからの直接アクセスに対応
- 複数のモードを同時に有効化できる新設計
- カスタマイズ可能なステータスバーとロック画面のアイコン表示
プリセットモード
システムには以下のモードが標準搭載される:
- おやすみモード(Do Not Disturb)
- 就寝時間(Bedtime)
- ゲームダッシュボード
- Pixel Stand
カスタマイズオプション
ユーザーは独自のモードを作成できる。設定可能な項目は以下の通り:
通知フィルター
- 全通知の許可
- 人物(メッセージ、通話)
- アプリ(選択したアプリ、なし)
- アラームその他(アラーム、メディアサウンド、タッチ音、リマインダー、カレンダーイベント)
ディスプレイ設定
- フィルター済み通知の表示オプション
- グレースケール表示
- 画面の暗転維持
- 壁紙の明るさ調整
- ダークテーマの有効化
スケジュール機能
各モードは時間帯やイベントに応じて自動的に有効化するようスケジュール設定が可能。これにより、仕事中、運転中、睡眠中など、状況に応じた最適な設定を自動的に適用できる。
その他の変更点
QPR2 Beta 1では、カーネルアップデート以外にも以下の変更が含まれている:
- テーマアイコンの明るさ変更が元に戻された
- Pixel Screenshotsの実時間処理が復活
- 80%充電制限機能が一時的に削除(QPR1安定版で復活予定)
Xenospectrum’s Take
今回のカーネルアップグレードは、Googleの長期サポート戦略における重要な一手と見るべきだ。特筆すべきは、Pixel 6シリーズまで含めた広範な対象範囲だ。これは、「保証期間終了間際のデバイスにまでカーネルアップグレードを提供する」というGoogleの姿勢を示している。
しかし、このアップデートがベータ版であることを考えると、安定性やバッテリー効率への影響を慎重に見極める必要がある。2025年3月の正式リリースまでに、これらの課題がどこまで解決されるか注目したい。
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