スマートフォンの盗難被害からユーザーを保護するため、Googleは新たなセキュリティ機能「IDをチェック(Identity Check)」の展開を開始した。この機能は、信頼できる場所の外でデバイスが使用される際に、重要な設定変更に生体認証を必須とすることで、PINコードが漏洩した場合でも端末を保護する機能となっている。
生体認証で重要設定を保護
IDをチェックは、スマートフォンが信頼された場所(自宅など)の外で使用される際、重要な設定変更に生体認証による本人確認を必須とする。対象となる操作には、デバイスのPINコード変更、生体認証情報の追加、工場出荷状態へのリセット、「デバイスを探す」機能の無効化、Googleアカウントの追加、開発者オプションへのアクセス、Google パスワードマネージャーの利用などが含まれる。
この機能によって、盗難されたデバイスからの個人情報流出や不正アクセスのリスクを大幅に低減することが期待できる。特に、端末のPINコードや画面ロックパターンが第三者に知られた場合でも、生体認証という追加の保護層によってアカウントの乗っ取りを防止できる。
既存の盗難対策機能を補完
IDをチェックは、Googleが展開する包括的な盗難対策機能群の最新の追加機能だ。既に導入されている「盗難検出ロック」は、センサーデータやWi-Fi、Bluetoothの情報を活用したAI機能により、端末が強制的に奪取される状況を検知して自動的に画面をロックする。この機能は当初Pixel端末限定だったが、現在はAndroid 10以降を搭載する全てのデバイスで利用可能となっている。
展開スケジュールと利用方法
IDをチェックの提供は段階的に行われる。第一段階として、Android 15を搭載したGoogle Pixel端末、およびOne UI 7を搭載したSamsung Galaxy端末で利用可能となる。その後、年内に他のAndroidデバイスメーカーの対応端末にも展開される予定だ。
機能を有効にするには、設定アプリから「Googleアカウント」>「全てのサービス」>「盗難防止」と進み、「IDをチェック」のトグルスイッチをオンにする必要がある。また、ユーザーは1つ以上の「信頼できる場所」を設定することで、自宅などでの利便性を確保できる。
Googleは携帯端末の盗難対策について、GSMAと協力して新たなシステムの開発を進めていることを明らかにしている。詳細は後日発表される予定だが、業界全体で共有可能な情報やツール、予防技術の開発が進められているという。
Source
- Google Security Blog: Android enhances theft protection with Identity Check and expanded features
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