GoogleのPixel 9aが正式発表前にもかかわらず、複数のYouTuberによる詳細なレビュー動画がインターネット上に流出した。これらの動画では、新しいフラットデザイン、Tensor G4チップ、5,100mAhバッテリーなど、端末の全容が明らかになっている。Googleは3月19日に同機種を正式発表する見込みだ。
レビュー動画の詳細と流出状況
Googleが正式発表を控えるPixel 9aについて、複数のYouTuberによる詳細なレビュー動画が予想よりも早くインターネット上に登場した。最も詳細な動画はYouTuberのSahil Karoul氏によるもので、ドバイで早期に入手したとされる「Iris」(紫色)の開封から、ベンチマークテスト、カメラ性能まで徹底的にレビューしている。また、The Mobile Centralも英語でのレビュー動画を公開しており、これらの動画によってPixel 9aの全容がほぼ明らかになった。
これらのレビュー動画が公開されたことで、Googleが3月19日に予定していると報じられている正式発表を前に、同社の中価格帯戦略スマートフォンの詳細が予想外に早く明らかになってしまったことになる。
デザインと外観の変更点
Pixel 9aのデザインは、これまでのPixelスマートフォンから大きく刷新される。最も顕著な変更点は、これまでのPixelシリーズの特徴だったカメラバイザー(カメラバンプ)がほぼ完全に排除され、フラットな背面パネルが採用されていることだ。また、側面フレームもiPhoneを彷彿とさせるフラットなデザインに変更されている。
背面パネルはプラスチック製だが、マット仕上げが施されており、プレミアム感を演出している。カラーバリエーションは紫(Iris)、ピンク、黒、白が用意される見込みだ。また、IP68の防水性能も備えているとされる。

一方、前面デザインはあまり現代的ではなく、6.3インチの120Hz OLEDディスプレイの周囲に比較的大きなベゼルが存在しており、これが2025年の中価格帯スマートフォンとしては時代遅れで安っぽい印象を与えるという指摘もある。
スペックと性能の詳細
Pixel 9aは、高価格帯のPixel 9シリーズと同様にGoogle製のTensor G4チップを搭載しているが、一部の性能面では差がある可能性が示唆されている。ベンチマークテストによれば、Geekbench 6でシングルコアスコア1,530、マルチコアスコア3,344を記録しており、通常のPixel 9(マルチコアスコア3,821)と比較すると、マルチスレッド処理では性能差が見られる。
この性能差の原因として、Pixel 9aではコスト削減のためにSoCのパッケージング技術が異なる可能性が指摘されている。通常のPixel 9シリーズではFan-Out Panel Level Packaging(FOPLP)が使用されている一方、Pixel 9aではより安価なIntegrated Package on Package(IPoP)が採用されていると推測されている。これにより、Pixel 9aのチップは高温で動作しやすく、そのため意図的に性能を下げる必要があるため、マルチコア性能が低下する可能性がある。

また、モデムもPixel 9シリーズで使用されているExynos 5400ではなく、前世代のExynos 5300が使用されていることが、baseband versionの「g5300」という文字列から推測されている。これにより、モデム性能はPixel 9よりもPixel 8シリーズに近いものになると予想される。
その他のスペックとしては、8GBのRAM、5,100mAhの大容量バッテリー、48メガピクセルのメインカメラ、13メガピクセルの超広角センサー、13メガピクセルのセルフィーカメラを搭載している。カメラの光学式手ぶれ補正(OIS)は特に印象的だという評価だが、夜間のビデオ撮影品質は低下するとの指摘もある。
価格と発売時期の予測
Pixel 9aは、3月19日に正式発表される見込みで、128GBモデルの価格は500ドル(約7万5千円)からになると予想されている。これは前モデルのPixel 8aと同価格であり、デザイン変更や大容量バッテリーなどの改良点にもかかわらず、価格は据え置かれると見られている。
また、一部の市場では、購入特典として米国では無料のGoogle TV Streamerが付属する可能性も報じられており、コストパフォーマンスの高さがさらに強調されている。日本でも何らかの早期購入特典が付与される可能性がありそうだ。
ソフトウェアサポートについては、Pixel 9シリーズと同様に7年間のアップデートが保証されるとされており、長期利用を考えるユーザーにとっては魅力的なポイントになると予想される。
Pixel 9aの位置づけと市場への影響
Pixel 9aはGoogleのスマートフォン戦略において、高性能な機能を比較的手頃な価格で提供する中価格帯モデルとして位置づけられている。高価格帯のPixel 9シリーズから一部機能や素材をダウングレードしつつも、カメラ性能やソフトウェア体験などGoogleスマートフォンの強みを引き継いでいる。
特に7年間のソフトウェアアップデート保証は、同価格帯の競合機種と比較して大きな優位性となる可能性がある。また、5,100mAhの大容量バッテリーと効率的なTensor G4チップの組み合わせにより、バッテリー持続時間も向上していると予想される。
一方で、モデムのダウングレードや冷却システムの簡略化など、コスト削減のための妥協点も見られる。これらが実際の使用体験にどの程度影響するかは、正式発表後の詳細なレビューを待つ必要がある。
Sources
- Sahil Karoul (YouTube)
- The Mobile Central (YouTube)