Googleは、コンピューティングの未来はWebベースにあると考えており、実際に最近委託したForresterによる調査の結果からも、この考えが間違っていないと主張している。その上で、同社が推し進めるChromeOSにおいて、レガシーアプリへのアクセスを拡大するための取り組みとして本日、Googleは仮想化ソフトウェア開発企業のCameyoを買収したことを発表した。
Chromebookのビジネス利用を拡大する取り組み
GoogleによるCameyoの買収は、ソフトウェア資産として膨大なWindowsアプリのChromeOSへの統合を図る物だ。
ChromeOSでWindowsアプリを利用する方法には、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)やDaaS(Desktop as a Service)などの仮想デスクトップソリューションを使うという手もあるが、完全な仮想デスクトップの配信に伴う大きなオーバーヘッドと言う問題が生じる。ユーザーが使用したいのはWindowsのアプリだけなのだ。そこでCameyoが提供するアプリケーション仮想化ソリューション(Virtual App Delivery: VAD)はリモート デスクトップ、仮想デスクトップ、DaaS に代わる、シンプル、安全、コスト効率の高い最新ソリューションで、従来のVDIやDaaSの高コストや複雑さを排除し、より安全なリモートワークやハイブリッドワークを実現することを可能にする。
既にGoogleとCameyoは昨年の段階で提携を行っており、「ChromeOS Virtual App Delivery with Cameyo」を提供している。これによりローカルファイルシステムの統合、Progressive Web Apps(PWA)としての仮想アプリの提供、強化されたクリップボードサポートが行われている。
GoogleのChromeOSのプロダクトマネジメント責任者であるNaveen Viswanatha氏は、同社が既にCameyoと協力してChromeOSと完全に統合された仮想アプリケーション配信体験を提供していると述べている。
「Cameyoチームの専門知識を社内に取り込むことで、仮想化アプリケーションのスリムな体験を提供するという我々のコミットメントを強化している」とViswanathaは述べている。
ただし、VAD自体はCameyoだけではなく、最大のVDIベンダーであるCitrixや、VMwareのスピンアウト企業Omnissaが同様にアプリのストリーミングを可能にするクライアントを提供しており、目新しい物ではない。
とは言え、Citrixは製品バンドルの長期契約の購入を必要とするライセンス変更を行っており、Omnissaもプライベートエクイティ企業KKRと言う新たなオーナーの下で今後どのように運営され、ライセンス体系が変更されるのか不透明だ。
WindowsレガシーアプリをChromeOSで維持しようとする企業としては、ChromeOSへの統合が進む今回の動きは歓迎すべきだろう。
そして実際にGoogle自体もChrombookを消費者向けよりもビジネス・教育分野で普及させることを目指しているようだ。特に教育現場での普及率は高く、日本でもGIGAスクール構想による公立小中学校で配布されたPCの実に半数近くがChromebookだったというデータにも表れている。今回のCameyoの買収によるVDAの統合は企業向けに低コストでWindowsアプリを活用できる選択肢を提供する物となり、少なからずビジネス分野でのシェア拡大を後押しする物となるだろう。
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