Appleは、同社の最も重要な製品であるiPhoneの生産における大きなリスク要因として“人間”を挙げており、これを排除し製造上の遅延を最小限に食い止めるために、最終組立ラインの50％を機械に置き換える事を計画しているようだ。
生産ラインから人間を排除し安定した生産を実現
The Informationによると、AppleはiPhone生産プロセスのさらなる自動化に取り組んでいるという。このAppleの決定は、新型コロナウイルスの感染拡大による工場の閉鎖、そして2022年11月にFoxconnの工場で労働者が起こした暴動に端を発しているという。この事件の直後、Appleのオペレーション担当上級副社長であるSabih Khan氏は、更なる自動化に舵を切ったようだ。
以前Appleは、自動化については「初期コストの高さから棚上げしていた」と、The Informationは伝えている。特に、iPhone生産を自動化するために必要な機械は、年間数億ドルのコストがかかることもあり、製造パートナーはこうした投資には余り前向きではない。Appleがそれでも自動化を進める理由は、結果としてiPhoneの生産コストの一部を削減することが出来る可能性もあるが、それ以上に人間の労働者を使用するリスクを排除したいからに外ならないだろう。人間と異なり、機械は病気にならず、体調によりコンディションに差が生まれず、より良い条件を要求せず、暴動も起こさないからだ。
だが、こうした自動化がAppleのサプライチェーンで働く何百万人もの労働者を供給している中国の労働市場にどのような影響を与えるかは未知数だ。これらの労働者が突然解雇された場合、その影響は計り知れないだろう。
Appleが年次サプライチェーンレポートで公表したデータによると、「労働時間遵守のために監視している製造パートナーの従業員総数」は、2022年の160万人から2023年には140万人に減少している。この数字が減少したのは10年以上ぶりだという。
また、The Informationによると、iPhone 15の最終組み立てには「かなりの自動化」が導入されているとのことだ。この作業の多くは、Appleのオペレーション担当副社長であるPeter Thompson氏が主導している：
過去1年間、ThompsonのチームはFoxconn、Luxshare Precision、Pegatronなどの製造パートナーと緊密に協力し、iPhoneの組み立ての一部を自動化することに成功した。これらの成功には、人間の助けなしに金属製ブラケットやフレキシブルプリント基板をコンポーネントに取り付ける機械が含まれると、この取り組みについて直接知識を持つ複数の人物が述べている。
これらおよび類似の取り組みにより、AppleとそのパートナーはChinaで数千人分の労働力を削減することができた。Appleのサプライチェーンで働く人々によると、一部のプロセスでは最大30%の人員を削減したとiPhone製造パートナーの従業員の1人は述べている。
The Informationはまた、DarwinAIを含む一連の買収がAppleのサプライチェーン自動化の取り組みに貢献したと指摘している。DarwinAIはプリント基板のような部品の欠陥検査に使用できるとThe Informationは指摘している。またAppleは昨年、Drishtiという会社も買収したとされており、この会社は組立ラインの映像を分析して「リアルタイムでボトルネックや生産問題を特定する」技術を持っているという。
今年のiPhone 16については、当初iPhoneのボタンやその他のコンポーネントの取り付けプロセスを自動化する計画があった。しかし、これらの計画は「高い不良率」のために中止され、自動化は1年延期されたとのことだ。
だが、Appleは多くの障害を経験しながらも、最終的にはiPhoneの最終組立ラインの作業員を最大50%削減することを目標に更なる開発を進めているという。
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