AIブームの波に乗り世界最大級の時価総額を誇るNVIDIAが、フランスの規制当局から独占禁止法違反の疑いで近々告発される可能性が高まっている。複数の情報筋がReutersに明かした。
GPUとソフトウェアへの強い依存に懸念
フランスの競争当局(Autorité de la concurrence)は、2023年9月にNVIDIAのフランスオフィスを立ち入り調査して以来、同社のAIコンピューティング市場における支配的地位について調査を進めてきた。
NVIDIAは現在、AI向けGPUおよびHPC市場の約80%のシェアを握っているとされる。ChatGPTなどの生成AIの台頭により、同社のGPUはAIコンピューティングに不可欠な存在となっているからだ。
競争当局は先週発表した報告書で、チップ提供者による市場の濫用リスクを指摘。特に「AIコンピューティングに不可欠となったNVIDIAのGPUと100%互換性のある唯一のチッププログラミングソフトウェアであるCUDAへの依存」に懸念を示した。
さらに、NVIDIAがAIクラウドプロバイダーのCoreWeaveに投資していることも問題視しているという。こうした投資パートナーシップが、不当にNVIDIAの市場パフォーマンスを押し上げている可能性があるとの指摘だ。
フランスの独占禁止法に違反した場合、NVIDIAは最大で年間グローバル売上高の10%の罰金を科される可能性がある。ただし、これは最も厳しい処罰を受けた場合の想定であり、実際にそこまでの処分が下される可能性は低いと、関係者は見ている。
NVIDIAはフランス以外でも規制当局の監視下に置かれている。欧州連合(EU)も同社の市場支配力を調査中とされ、米国では司法省が独占禁止法調査を準備しているとの報道もある。
NVIDIAの広報担当者はこの件についてコメントを控えている。一方、フランスの競争当局は「一部の異議告知書は公表するが、全てを公表するわけではない」としている。
AI市場の急成長に伴い、NVIDIAの独占的地位が各国規制当局の注目を集めている。今後の展開が注目される。
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