Googleの親会社Alphabetが、クラウドセキュリティ分野で急成長を遂げているスタートアップ Wiz の買収に向けて交渉を進めていることが明らかになった。The Wall Street Joutnal紙の報道によると、買収額は約230億ドル(約3兆4,000億円)に上る見込みで、実現すれば Google にとって過去最大規模の買収となる。
急成長するWizとGoogleの思惑
Wizは2020年に設立されたイスラエルのスタートアップで、クラウドシステムのセキュリティに特化したサービスを提供している。同社のソリューションは、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudなど主要なクラウドプラットフォームのデータを統合し、セキュリティリスクを包括的に分析する点が特徴で、経営幹部やサイバーセキュリティの専門家にクラウドの全容を理解させるもので、大規模なコンピューティング・リソースを持つ大企業にとって魅力的なものだ。
創業からわずか4年で急成長を遂げたWizは、これまでに総額19億ドルの資金を調達。2023年5月の時点で企業価値は120億ドルと評価され、年間経常収益は3.5億ドルに達している。Andreessen Horowitz、Sequoia Capital、Index Venturesなど著名なベンチャーキャピタルが投資を行っており、IPO(新規株式公開)の準備を進めていたとされる。
一方のGoogleは、クラウド事業の強化を重要な戦略と位置付けている。2024年第1四半期のクラウド事業の売上高は前年同期比28%増の95.7億ドルを記録。しかし、AmazonやMicrosoftに後れを取っている現状がある。Wizの買収は、Googleのクラウドセキュリティ分野における競争力を大幅に向上させる可能性がある。
買収が実現すれば、2012年のMotorola Mobility買収(125億ドル)を上回り、Googleにとって過去最大規模となる。ただし、Googleは大規模なサイバー企業買収として、2年前にサイバーセキュリティ企業のMandiantを54億ドルで買収していることから、独占禁止法の観点から規制当局の審査が厳しくなる可能性も指摘されている。
現時点でGoogleとWizの両社はこの報道についてコメントを控えているが、交渉は最終段階に入っているとされる。テクノロジー業界の巨人による新興企業の大型買収として、今後の展開が注目される。
Source
- The Wall Street Journal: Google Near $23 Billion Deal for Cybersecurity Startup Wiz
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