Ampere Computingが次世代プロセッサ「AmpereOne Aurora」を発表した。512コアという驚異的な規模を誇るこの新プロセッサは、AIアクセラレーション機能とHBMメモリ対応を特徴とし、クラウドネイティブAIコンピューティング時代の到来を予感させる画期的な製品となっている。
AmpereOne Auroraの革新的な特徴
AmpereOne Auroraは、Ampere Computingが独自に開発したArmベースのカスタムコアを採用している。このプロセッサの中核を成すのは、スケーラブルなメッシュアーキテクチャとダイ間インターコネクトだ。これにより、複数のチップレットを効率的に連携させることが可能となっている。特に注目すべきは、カスタムSERDESとプロトコルを用いたダイ間インターコネクトで、これによりチップレット間の高速な通信が実現されている。
AIアクセラレーション機能の搭載は、AmpereOne Auroraの大きな特徴だ。AmpereAI IPと呼ばれるこの機能は、専用のAI高速処理を提供する。現代のデータセンターにおいてAIワークロードの重要性が増す中、この機能は大きな競争力となるだろう。さらに、高帯域幅メモリ(HBM)のサポートにより、このAIエンジンに十分なメモリ帯域幭を供給することが可能となっている。HBMの採用は、従来のDDR5メモリと比較して、大幅に高いメモリ帯域幅を実現し、AIワークロードの処理速度向上に貢献すると考えられる。
Ampereによると、AmpereOne Auroraは現行のAmpereOneプロセッサと比較して、ラックあたりの性能が3倍に向上するという。ただし、この性能向上がチップ単体の性能向上なのか、消費電力効率の改善も含めた総合的な向上なのかは明確にされていない。この点は、実際の製品がリリースされた際の詳細な性能評価を待つ必要がある。
AmpereOne Auroraの製造プロセスについては明らかにされていないが、業界では大きな注目を集めている。Ampereは先日のIntelファウンドリサービスの発表イベントに登壇しており、IntelのAdvanced Packaging技術を活用する可能性が取り沙汰されている。もしこれが実現すれば、IntelのFoundry事業にとっても大きな成功事例となるだろう。
一方で、Ampereは現行のAmpereOne Mプロセッサのラインナップと価格も発表した。これらのプロセッサはTSMC 5nmプロセスで製造され、12チャネルのDDR5メモリをサポートする。最上位モデルの192コア「A192-32X」は5,555ドルで、第4四半期に出荷が開始される予定だ。96コアから192コアまでの幅広いラインナップが用意され、TDP(Ampereは「usage power」と呼んでいる)は185Wから332Wの範囲に収まっている。
さらに、Ampereは256コアまでスケールアップする次世代のAmpereOne MXファミリーもTSMC 3nmプロセスで製造中であることを明らかにした。これらのプロセッサも12チャネルのDDR5メモリをサポートする予定だ。
Ampereの新製品は、AMDのEPYC BergamoやIntelのSierra Forestなど、既存の高コア数プロセッサに加え、大手クラウドプロバイダーが独自開発するカスタムシリコンとも競合することになる。特に、空冷環境に適した省電力設計は、Ampereの強みとなっている。Ampereによれば、現在展開されているラックの77%が20kW未満、半数が10kW未満の電力消費量であり、空冷環境での運用が主流だという。この市場動向を踏まえ、Ampereは電力効率を重視した設計を行っている。
AmpereOne Auroraの登場により、データセンター向けCPU市場の競争は一層激化することが予想される。AIワークロードの重要性が増す中、Ampereの新戦略が市場にどのような影響を与えるか、今後の動向が注目される。
Sources
- Ampere Computing: Introducing AmpereOne® Aurora
- ServeTheHome: Ampere AmpereOne Aurora 512 Core AI CPU Announced
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