オーストラリアのデザインツール企業Canvaは、Canva Createバーチャルイベントを開催し、職場全体のコンテンツ作成プロセスの効率化を支援することを目的とした、新しいブランド管理製品およびAI搭載のデザインツールの大規模なスイートを発表した。
今回発表されたツールのほとんどは、プロのデザイン経験がない人でもソーシャルメディアのグラフィック、プレゼンテーション、広告資料などのコンテンツ作成を簡単に行えることを意図して開発されたという。これにより、グラフィックデザイナーは、より緊急性の高いタスクに取り組むことができるようになるということだ。
CanvaのVisual Worksuiteには、今回新しく「ブランドハブ」が追加され、ユーザーが組織のビジュアルアイデンティティに一貫性を保つためのツールが提供されるようになった。共有ドライブやデザイナーへのSlackメッセージの代わりに、ユーザーはロゴ、フォント、色、デザインガイドラインなどの企業固有のアセットを含むブランドキットを作成することができるようになる。ブランドフォルダは、特定のイベント、キャンペーン、プロジェクト用に資産をまとめるために設定され、ブランドテンプレートは、デザイナーがメールキャンペーンなどの反復的なタスクのために、あらかじめブランド化された再利用可能なテンプレートを作成することを可能にする。
ここでCanvaは、他のクラウドストレージソリューションとは一線を画す、さらなる仕掛けを用意した。管理者は、Canvaで作成されたコンテンツがブランドとして維持されるように、いくつかの権限を設定することができ、承認されていないフォントや色を制限することが出来る。また、管理者は公開前にCanva内でワークフローを直接承認することができ、複数の下書きが別の場所に保存されレビューされるのを防ぐことが出来る。また、古くなったロゴやブランドグラフィックを更新する必要がある場合、ワンクリックですべてのデザインにアセットを置き換えることができる新しい「Magic Replace」ツールも用意されている。
Magic Replaceツールは、Canva Visual Worksuiteに搭載されるいくつかの新しいAI搭載機能のうちの1つに過ぎない。今回のAI新機能はどれも “Magic”が付いており、少し混乱するかも知れない。「Magic Eraser」は、背景の人物や不要なオブジェクトなど、画像に不要なものを取り除くことが出来る物で、「Magic Edit」は、AIを使ってオブジェクトをまったく別のものと入れ替えることが出来る。
また、アップロードした画像からポスターやバースデーカードなどのテンプレートを生成する「Magic Design」や、テキストプロンプトからプレゼンテーションやWebサイトのコピーに使える文章を生成するAI搭載のコピーライティングアシスタント「Magic Write」も用意されている。もし、自分でスライドを作る時間がないのであれば、ブランド化されたプレゼンテーション全体を生成するツールも用意されている。
また今回Canvaは「Assistant」という新機能を導入し、デザイン要素の検索や機能への素早いアクセスを提供する。このツールは、既存のデザインに合ったグラフィックやスタイルのデザイン提案を行う事が出来る。また、この新たなアシスタントを使って、「Magic Write」にも簡単にアクセス出来る様になった。Magic Writeは、2022年12月に発表されたCanvaのAI搭載のコピーライティングアシスタントで、これまではCanva Docsでしか利用出来なかったが、プレゼンテーションやSNS用グラフィック、チラシなど、すべてのCanvaプロジェクトで利用可能になった。例えば、新製品のローンチに向けたソーシャルメディア戦略のアイデアをMagic Writeにリストアップさせることが可能だ。このツールは、コピー提案の際に、作業中のプロジェクトの種類を考慮してくれる。さらに、Magic Writeは現在18言語に対応しているとのことだ。
新しい翻訳機能は、デザイン内のあらゆるテキストを100以上の異なる言語に自動的に翻訳し、ビデオ映像は手動で編集することなく、サウンドトラックのビートに合わせることが出来る。Canvaは、これらの機能の基盤として、独自のシステムを構築することに加え、さまざまなAIモデルを組み合わせて使用していると述べている。
AI搭載の新機能に加えて、Canvaはユーザーからの要望を受けた新機能の一連の追加を発表した。「Draw」という新機能では、簡単な図形(例えば円)をスケッチし、それを整った図形に変換できる。「Layouts」という新機能では、ページにコンテンツを追加し、デザインのレイアウトアイデアを提案してもらえる。また、「Styles」では、推奨されるカラーパレットやフォントを閲覧できます。「Layers」という新しいツールを使うと、テキスト、図形、画像、動画など、すべての要素を一か所で確認出来る。
また、Canvaは今回、視覚障害者やアクセシビリティのニーズに対応するために、Alt Textに対応し、画像や要素に追加の文脈を提供できるようになった。さらに、Arial、Courier、Helvetica、Times New Romanを含む953の新しいフォントも追加された。
Canva共同創設者兼CEOのMelanie Perkins氏は声明で、「10年前、Canvaは誰もがスキルや経験に関係なくデザインできるようにするというビジョンのもとに立ち上げられました。今日、私たちはそのビジョンをさらに進めるために、ブランドがクリエイティブを拡大することに特化した新機能の数々を紹介することに大変興奮しています。技術が進歩するにつれて、私たちは頭の中にあるものをページに載せ、世界に届けるプロセスを、これまで以上に簡単に再構築しています」と述べている。
2013年に立ち上げられたCanvaは、現在月間ユーザー数が1億2000万人以上で、2022年9月のCanva’s Visual Worksuiteのローンチ以降、3500万人以上増加している。同社によると、Canvaのプラットフォームを使用して150億以上のデザインが作成されているとのことだ。
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