宇宙に存在するブラックホールは、天文学者によって3種類観測されている。大質量星の崩壊によって形成される恒星質量ブラックホール、一部の星団で見つかる中間質量ブラックホール、そして銀河の中心に潜む超巨大ブラックホールである。しかし、4番目の種類が仮説として存在し、まだ観測されていない。原始ブラックホールとして知られるこの種類は、初期宇宙の高温で高密度な状態における微小な変動から形成されたと考えられている。恒星や合体によって形成されたのではないため、はるかに小さな質量を持つ可能性がある。そして小さな質量を持つことから、原始ブラックホールは極めて小さいはずでだ。その事象の地平線はリンゴよりも小さく、おそらく砂粒ほどの大きさと思われる。なぜ原始ブラックホールの発見が困難かがわかるだろう。
もし存在するなら、これらの塵のような特異点はダークマターの完璧な候補となる。これは新しいアイデアではない。ダークマターの観測により、恒星質量ブラックホールや惑星質量のものさえも除外されているが、原始ブラックホールはまだ完全には除外されていない。そのため、ダークマターの説明として可能性がある。しかし、どのようにしてそれを証明できるだろうか。arXivに掲載された新しい研究がその答えを見出そうとしている。
著者らは、もしダークマターが本当に原始ブラックホールで構成されているなら、通常の物質の周りにダークマターと同じように集まっているはずだと指摘することから始めている。天の川銀河の周りには微小なブラックホールのハローが存在し、太陽系全体に原始ブラックホールが散らばっているはずだ。したがって、これらの微小なブラックホールの重力は、観測可能な方法で惑星、小惑星、彗星の動きに影響を与えるはずである。以前の探索では何も見つからなかったが、著者らは現在の技術でその効果が観測可能なほど有意であるかどうかを知りたいと考えた。
そこで、彼らは効果の大きさを計算するためにいくつかのコンピューターシミュレーションを実行した。単一のブラックホールの重力は微小であるため、チームは近接遭遇が太陽系天体の軌道をどのように変化させるかを調べた。私たちは軌道運動を暦表で記述するので、彼らはシミュレーションを使用して時間とともに暦表がどのように変化するかを決定した。彼らが発見したのは、10年分の暦表観測を行ったとしても、原始ブラックホールの効果は観測の限界よりも1桁小さいということだった。言い換えれば、たとえ原始ブラックホールが存在したとしても、その効果は太陽系で観測するには小さすぎるのである。
この結果は少し残念だが、現在の観測が原始ブラックホールをダークマターとして排除すると主張するいくつかの研究と矛盾している。この宇宙の謎の解決策としては可能性が低いものの、まだ可能性として残されているのである。
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