GoogleはPixelシリーズ向けの12月のPixel Drop(機能追加アップデート)の提供を開始した。Android 15初の大型アップデートとなる今回は、AIアシスタント「Gemini」の機能拡張や通話スクリーニングの強化など、特にAI機能の充実に重点が置かれている。
Gemini機能の大幅拡張
新しいGemini Advancedでは、ユーザーの興味や好みを記憶する「saved info」機能が追加された。例えば、ベジタリアンであることを伝えると、以降のレシピ提案では自動的に植物性の食材のみを使用したものが提示される。この保存された情報は、ユーザーが随時確認、編集、削除できる。
また、Geminiのアプリ連携も強化され、電話やメッセージの送信、アラーム設定、カメラ起動などの基本的なデバイス制御が可能になった。さらに、近日中にSpotifyとの連携や、スマートホーム制御、Googleマップとの連携機能も追加される予定である。
AI搭載通話スクリーニング機能の進化
Pixel 9シリーズでは、Gemini Nanoを活用した新しい通話スクリーニング機能が導入された。発信者との会話文脈に応じて、より適切な応答候補を提示する。例えば、配達員からの着信時には、質問に対する「はい」「いいえ」の返答や、関連する追加質問をワンタップで行える。
Pixel 6以降のモデルでは、自動スクリーニング中の会話をリアルタイムで確認できる機能が追加された。これにより、スパムでない可能性のある着信をより適切に判断できるようになった。
カメラ・写真機能の包括的強化
Instagram連携の強化
InstagramでのUltra HDR写真撮影に直接対応したことで、写真共有のワークフローが大幅に改善された。従来は標準的なHDR写真のみだったが、Ultra HDRにより、より広いダイナミックレンジでの撮影が可能となり、明部から暗部まで豊かなディテールを保持したまま投稿できるようになった。これにより、特に逆光シーンや、コントラストの強いシーンでの表現力が向上している。
Snapchatとの統合深化
Snapchatでの写真・動画共有システムが根本から見直され、新しいPhoto Pickerが実装された。これにより、デバイス内の写真アルバムを逐一スクロールする必要がなくなり、フォルダ、お気に入り、クラウドストレージの写真にまで、シームレスにアクセスできるようになった。この改善により、コンテンツ共有のための写真検索時間が大幅に短縮されている。
フォルダブル向け撮影機能の拡充
Pixel Foldシリーズに導入されたDual Screen機能は、ポートレート撮影のワークフローを革新的に改善している。カメラマンと被写体の双方が、リアルタイムで写真をプレビューできるため、ポーズや表情の微調整が即座に可能となった。これは特に、プロフェッショナルなポートレート撮影や、完璧なセルフィーを求めるユーザーにとって重要な進化といえる。
Made You Look機能の拡張
子供の自然な表情を捉えるためのMade You Look機能が、初代Pixel Foldにも拡張された。この機能は、外側のディスプレイに楽しいアニメーションを表示することで、子供の注意を引き、自然な表情を引き出すのに役立つ。
特筆すべきは、Pixel 9 Pro Fold向けに、ディズニー/ピクサー映画「インサイド・ヘッド」のキャラクター「ジョイ」が新たなアニメーションオプションとして追加されたことだ。2024年12月3日までの期間限定機能ではあるが、子供たちに馴染みのあるキャラクターを活用することで、より効果的な撮影が期待できる。
Pixel Studio統合の強化
Pixel Studioで作成したスティッカーが、Gboardキーボードから直接利用可能になった。これにより、メッセージングアプリやSNSなど、様々なプラットフォームでの共有がよりスムーズになった。カスタムスティッカーの作成から共有までの一連のワークフローが効率化され、よりクリエイティブな表現が容易になっている。
この包括的なカメラ・写真機能の強化は、単なる撮影品質の向上にとどまらず、ソーシャルメディアとの統合深化や、フォルダブルデバイスの特性を活かした新機能の追加など、ユーザーの実際の使用シーンを深く考慮した進化となっている。特に、子供の撮影やポートレート撮影など、特定のユースケースに焦点を当てた機能強化は、ユーザー体験の質的向上に大きく貢献するものと評価できる。
Pixel Screenshots:AIと検索機能による革新的な進化
検索と保存機能の大幅な強化
Pixel Screenshotsは、今回のアップデートで検索と整理機能が大幅に強化された。特筆すべきは、Circle to Search(円で囲って検索する機能)との統合だ。ユーザーがCircle to Searchで見つけた情報は、ワンタップでPixel Screenshotsに保存できるようになった。これは特に、ホリデーシーズンのギフトアイデアの収集など、後で参照したい情報の保存に非常に便利な機能として機能する。
さらに注目すべきは、AIを活用した自動カテゴリ分類システムの導入である。スクリーンショットは自動的に内容に基づいて分類され、新しい検索フィルターと組み合わせることで、必要な情報へのアクセスが格段に容易になった。
コンテキストに応じたアクション提案
システムは保存された情報を分析し、コンテキストに応じた適切なアクションを提案する機能も備えている。例えば、イベントの詳細が含まれるスクリーンショットからは、カレンダーへの予定追加が提案され、場所の情報が含まれる場合は、地図アプリでの経路検索が提案される。これにより、スクリーンショットの情報を実際のアクションに移すプロセスが効率化された。
Google Walletとの統合
特に実用的な新機能として、スクリーンショットした航空券やクレジットカード情報を、直接Google Walletに追加できるようになった。これにより、運転免許証、搭乗券などの重要な文書や情報を、より便利に一元管理できるようになった。この機能は、デジタルウォレットの利便性を大きく向上させる重要な進化といえる。
Gboardとの連携による情報活用
新機能の中で特に革新的なのは、Gboardとの統合である。ユーザーが「スクリーンショットからの提案を他のアプリで表示」機能を有効にすると、関連アプリでの検索時に、保存したスクリーンショットの情報がサジェストとして表示されるようになった。例えば、映画、音楽、製品情報などのスクリーンショットを保存していた場合、関連アプリでの検索時にそれらの情報が自動的に提案される。
セキュリティとプライバシーの強化
新しく導入されたIdentity Checkベータ機能は、ユーザーが新しい場所にいることを検知すると、重要な設定変更時に顔認証や指紋認証を要求する。これにより、デバイスが盗難された場合でも、パスワードやPINの変更、盗難防止機能の無効化を防ぐことができる。
Pixel Tabletでは、これまでPixelスマートフォンのみで利用可能だったGoogle VPNが利用可能になった。公共Wi-Fi接続時のインターネットトラフィック、プライベートメッセージ、写真、健康情報、銀行取引詳細、位置情報などが保護される。
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