Googleは23日、台湾HTCのXR(拡張現実)部門の一部を2億5000万ドルで買収すると発表した。この戦略的な買収により、HTC VIVEのエンジニアリングチームの精鋭が Googleに加わり、先月発表されたAndroid XRプラットフォームの開発が大きく加速する見込みだ。
GoogleはAndroid XRを推し進める
買収の対象となるのは主にソフトウェアエンジニアリング部門で、HTCのXR関連知的財産権の非独占的ライセンスも含まれる。一方でHTCは既存のVIVEビジネスの所有権を保持し、最近発表した999ドルのVive Focus Visionヘッドセットを含む現行製品ラインの開発と支援を継続する。取引完了は2025年第1四半期を予定している。
この動きは、GoogleにとってXR市場での重要な戦略的一手となる。同社は10年以上前からXR技術への投資を続けており、2017年には同じくHTCのスマートフォン部門を11億ドルで買収している。今回の買収により、GoogleはSamsungなどのOEMパートナーとハードウェアで協力しながら、Android XRプラットフォームの開発に一層注力できる体制を整える。特に注目すべきは、買収の焦点がソフトウェアエンジニアリングに当てられていることで、これはGoogleがプラットフォーム戦略を重視している証拠と言えるだろう。
市場に目を向けると、現在XR市場ではAppleとMetaが主導的な地位を確立している。Googleは今回の買収を通じて、Android XRプラットフォームをヘッドセットやグラス型デバイスのエコシステム全体に展開し、競争力を高めることを目指している。特に台湾は既に米国外では最大のGoogleハードウェアエンジニアリングハブとなっており、今回の買収によってその重要性は更に増すことになる。
HTCにとってもこの合意は戦略的な意味を持つ。XRエコシステムの開発を継続しながら、製品ポートフォリオの効率化と財務的柔軟性の向上が可能になる。さらに今回の取引により、両社は将来的な協力関係を深める機会も模索できる。これはHTCが持つハードウェアの専門知識とGoogleのソフトウェアプラットフォーム戦略との相乗効果を生み出す可能性を示唆している。
XR市場は今後、メタバースやAIとの連携により、さらなる成長が期待される。今回の買収は、GoogleがこのXR市場でのプレゼンスを強化し、次世代のコンピューティングプラットフォームの主導権を握るための重要な一歩となるだろう。
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