Google Pixelスマートフォンシリーズは、現在のAIブームが始まる前からカメラやその他の機能で“AI”に注力した機能の数々を搭載してきた。この傾向はもちろん「Pixel 9」シリーズでも変わる事はなく、2024年8月に発表されるPixel 9シリーズでは、新たな「Google AI」機能が披露されることが予想されるという。
Google Pixel 9が導入する新AI機能の数々
Google Pixel 9シリーズは、AIを活用したユーザー体験の向上を目指しつつ、昨今のAI機能について回るプライバシーへの配慮も怠らない物となる。
これまでGoogleは様々なAI機能を開発し、リリースしてきたが、Android Authorityが入手したGoogleの内部関係者からの情報によれば、Google Pixel 9シリーズでは、「Google AI」というブランディングの下で新旧のAI機能が統合され、既存の「かこって検索」や「Gemini」に加え、新たに3つの機能が追加されるとのことだ。これらの機能は、Googleが長年培ってきたAI技術の集大成と言えるものだ。
Add Me
一つ目の新機能は「Add Me」と呼ばれる物だ。この機能は、カメラにまつわる物で、グループ写真に全員を確実に含めることを目的としたAI機能となるようだ。Pixel 8シリーズで導入された「ベストテイク」機能の拡張版と考えられる。Googleは、“実際に何を撮影したか”ではなく、“何を撮影しようとしているか”が重要であるという考えを更に推し進めようとしているようだ。
Add Meの予想される機能:
- 異なる写真から人物を合成する能力
- 表情の変更だけでなく、異なる人物が写っているテイクを結合し、写真に写っていない人物を含めた一枚を作成する
- AIを活用して自然な合成を実現
Screenshots
Google AIのもう一つの機能「Screenshots」は、MicrosoftがCopilot+ PCで物議を醸したAI機能「リコール」に似た機能のようだ。この機能は、ユーザーが撮影したスクリーンショットに追加のメタデータ(アプリ名、Webリンク、撮影時刻など)を付与し、ローカルAIで処理する。これにより、スクリーンショットの内容に基づく検索や、チャットボットを通じた質問が可能になる。
Screenshotsの特徴:
- ユーザーが手動で撮影したスクリーンショットのみを対象とする
- デフォルトでオフに設定され、ユーザーが任意でオン/オフを切り替えられる
- ローカルAI(おそらくGemini Nanoの新しいマルチモーダルバージョン)を使用して処理
- スクリーンショットの内容に基づいて検索可能
- チャットボットを通じてスクリーンショットの内容について質問することが可能
この機能は、Microsoft社の「リコール」とは異なり、自動的に画面をキャプチャすることはなく、ユーザーが自分で撮影したスクリーンショットにのみ適用される。これにより、プライバシーの懸念を大幅に軽減している。Android AuthorityのKamila Wojciechowska氏は、この実装が「より優れている」と評価している。
Studio
3つめのGoogle AI機能「Studio」は、AIを活用した総合的な画像生成・編集ツールになると予想される。これは以前から噂のあった「Creative Assistant」アプリと同一のものである可能性が高い。以前の噂では、Appleの絵文字生成機能「Genmoji」と同様に生成AIによってステッカーや絵文字の生成が可能とされていた。
Studioの予想される機能:
- スクリーンショットエディタアプリに統合
- ステッカーの作成(「リミックス」)が可能
- Googleの画像生成モデル「Imagen 2」を活用した広範な画像生成機能
- 将来的には動画生成モデル「VideoFX」の統合も期待される
Studioは、Appleの「Image Playground」に似た、オールインワンの生成AI画像ジェネレーターになる可能性があると、Android AuthorityのKamila Wojciechowska氏は予想している。
これらの新機能に加え、既存の「かこって検索」や「Gemini」も「Google AI」ブランドの下に統合される。「Gemini」は全てのAndroidフォンで利用できるが、「かこって検索」はPixelや一部のサードパーティデバイスで利用可能な機能となる。
Googleは、AIを活用してPixelシリーズを他のAndroidデバイスと差別化し続けている。これらの新機能は、GoogleがAI技術を活用してスマートフォン体験を向上させる取り組みの最新の成果だ。特に「Screenshots」は、プライバシーに配慮しつつ便利な機能を提供するという、GoogleのAIアプローチを象徴したものとなるだろう。各社がプライバシーに配慮しつつどのようなAI機能を追加するのか、他社の失敗を参考にしつつ、自社の軌道をその都度修正していく様が見て取れて中々興味深い。
ユーザーがこれらの機能をどのように受け入れ、活用するかが注目される。また、GoogleがこれらのAI機能をPixel 9シリーズのどのモデルに搭載するのか、全てのモデルで利用可能になるのか、それとも既存のPixelでも利用可能なのか?今後の発表が待たれる所だ。
Pixel 9シリーズは、カメラデザインの変更も噂されており、従来のバーデザインから楕円形のバンプへと変更される可能性がある。Google Pixel 9は、2024年8月13日(現地時間)に発表イベントが開催され、少なくとも3つのバリエーションで登場する予定だ。
Source
- Android Authority: Exclusive: This is Google AI, and it’s coming to the Pixel 9
コメント