人間原理は、基本的な力の強さなど、宇宙の基本的なパラメータが生命を支えるように精密に調整されているという考えを述べている。これが真実であるかどうか、あるいは科学的な調査に値するかどうかについては、激しい議論が行われてきた。新しい論文では、これを検証する方法がいくつか提案されており、おそらく初めてこのテーマを科学的な精査の対象としている。
人間原理という考えは、物理学者のBrandon Carterによって1973年に初めて提唱された。Carterの提案は、Nicolaus Copernicusの生誕500周年を記念する会議で発表された。この原理は、人間のような観測者が存在できる宇宙を支える様々な普遍的パラメータの見かけの「微調整」を合理化しようとするものである。パラメータがわずかでも異なれば、生命は進化しなかった可能性がある。
この原理には2つのバージョンがある。弱い人間原理は、我々が宇宙を我々の存在と両立するものとして観測するのは、そうでなければ我々がそれを観測することができないからだと主張する。一方、強い人間原理はさらに踏み込んで、宇宙は生命を可能にするパラメータを持たなければならないと単純に述べている。
科学か哲学か?いずれにせよ、理論が有用であるためには、それを検証できる可能性がなければならない。これまで人間原理は検証の可能性を超えているとされていた。Journal of Cosmology and Astroparticle Physicsに掲載された論文は、University of CaliforniaのNemanja KaloperとDeutsches Elektronen-SynchrotronのAlexander Westphalによって執筆され、初めてこの原理を実験的に検証する方法を提案している。
人間原理は、我々の炭素ベースの生命が進化できる場所として宇宙が発展するためには、非常に特定のパラメータセットで始まらなければならないと提案している。重力定数、プランク定数、電子の電荷は、時間の始まりで異なっていれば、宇宙は非常に異なったものになっていたであろうパラメータである。
KaloperとWestphalは、人間原理が示唆する初期パラメータを特定し、宇宙がどのように進化したかをモデル化することができる。その結果を今日観測される宇宙と比較することが可能となる。モデルと観測された宇宙との間の任意の差異が、この原理の妥当性の尺度を提供することになる。
研究チームは、宇宙のインフレーションやダークマターの性質を含む、測定基準として使用できる予測がいくつかあると述べている。おそらくこの原理の妥当性を何らかの形で証明することに今や非常に近づいているが、必要な証拠をすべて収集できるようになるまでには、まだ数年かかる。それまでの間、人間原理は非常に興味深い好奇心の対象であり続け、少なくともこの最新の論文の発表以来、我々の注目に値するものとなっている。
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