サーバーの冷却にはより多くのエネルギーが必要になってきており、今後は効率を求めてこれまでの空冷から液冷方式に切り替わる事が予想されているが、一部の企業はデータセンターごと水中に沈めて冷やしてしまおうという野心的なプロジェクトを進めていた。その一つがMicrosoftだが、同社は長年取り組んだ水中データセンタープロジェクト「Project Natick」が既に終了していることを明らかにした。
水中データセンター計画は成功裏に終了
MicrosoftのProject Naticは、2020年に最後の公式な言及があって以来、その取り組み状況は謎のままだった。そのため、現在進行中の物として考えられていたが、Data Center Dynamicsに語った所では、Project Naticは最早行われていないという。
「世界のどこにも海底データセンターを建設していません。私のチームはそれに取り組み、成功しました。海面下でのオペレーションや振動、サーバーへの影響について多くを学びました。ですから、これらの学びを他のケースにも応用していきます」と、Microsoftのクラウドオペレーション+イノベーション(CO+I)部門の責任者であるNoelle Walsh氏はDCDに語っている。
MicrosoftのProject Naticは2013年に開始され、2018年の春、水深35メートルの海底に、「Northern Isles」と名付けられたデータセンターが設置された。水没されたのは855台のサーバーを含むコンテナで、陸上には対比のため135台のサーバーが設置され、比較されたという。
水中のサーバーは855台中6台が故障したが、陸上サーバーは135台の内8台が故障したという。これによって、水中データセンターの有用性が明らかになった。同社によれば、この成功の要因は外気温が安定していたことによるという。
また、内部のガスの違いも大きいようだ。陸上データセンターは酸素ガスが使われていたのに対し、水中データセンターでは不活性の窒素ガスが充填されていたという。窒素ガスが有効に作用するならば、人間が内部で関与しないデータセンターというのも有り得そうだが、Microsoftは今のところそれについては曖昧にしている。「「私たちはロボット工学について他業界から学んでいますが、同時に人が必要だということも強く認識しています。雇用の心配をしてほしくありません」と、Walsh氏は述べている。
Microsoftは今回の結果について、DCDに次のように語っている:「現在、水中にデータセンターはありませんが、データセンターの信頼性と持続可能性に関する新しいコンセプトを探求、テスト、検証するための研究プラットフォームとして、Project Natickを使用していきます」。
ちなみに、水中データセンターとしては、中国のHighlander社が、世界初となる商用の水中データセンタープロジェクトに取り組んでいる。
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