宇宙環境は過酷で極端な放射線に満ちている。宇宙船や人工衛星を設計する科学者たちは、これらの条件に耐えうる材料を必要としている。
2024年1月に発表された論文で、私の材料研究チームは次世代半導体材料である金属ハロゲン化物ペロブスカイトが放射線損傷から実際に回復し、自らを修復することができることを実証した。
金属ハロゲン化物ペロブスカイトは1839年に発見された材料の一種であり、地殻中に豊富に存在する。これらは太陽光を吸収し、それを効率的に電気に変換するため、人工衛星や将来の宇宙居住施設に電力を供給するための宇宙ベースのソーラーパネルに適している可能性がある。
研究者たちはペロブスカイトをインクの形で作り、そのインクをガラス板やプラスチックに塗布して、軽量で柔軟な薄膜デバイスを作成する。
驚くべきことに、これらの薄膜太陽電池は、実験室でのデモンストレーションにおいて、従来のシリコン太陽電池と同等の性能を発揮する。これらは従来の太陽電池のほぼ100分の1の厚さであるにもかかわらず、同等の性能を持っている。
しかし、これらのフィルムは湿気や酸素にさらされると劣化する可能性がある。研究者や業界は現在、地上での展開のためにこれらの安定性の問題に取り組んでいる。
宇宙での耐久性をテストするために、私のチームは放射線実験を開発した。我々はペロブスカイト太陽電池を低エネルギーおよび高エネルギーの両方の陽子にさらし、ユニークで新しい特性を発見した。
高エネルギー陽子が低エネルギー陽子によって引き起こされた損傷を修復し、デバイスが回復し続けてその役割を果たすことができた。宇宙電子機器に使用される従来の半導体はこのような修復能力を示さない。
私のチームはこの発見に驚いた。酸素や湿気にさらされると劣化する材料が、従来のシリコン半導体を破壊する環境である宇宙の過酷な放射線に耐え、さらに自己修復することができるとはどういうことだろうか?
我々の論文では、この謎の解明を始めた。
重要性
科学者たちは、今後10年間で地球近傍軌道への衛星打ち上げが急増すると予測しており、NASAのような宇宙機関は月面基地の設立を目指している。
極端な放射線に耐え、自己修復できる材料は状況を一変させるだろう。
研究者たちは、数ポンドのペロブスカイト材料を宇宙に展開するだけで最大10,000,000ワットの電力を生成できると推定している。現在、材料を宇宙に打ち上げるコストは1キログラムあたり約4,000米ドル(1ポンドあたり1,818ドル)であるため、効率的な材料が重要である。
未解明の問題
我々の発見は、ペロブスカイトの驚くべき特性、すなわち損傷と欠陥に対する耐性に光を当てている。ペロブスカイト結晶は軟らかい材料の一種であり、これはその原子が科学者たちが振動モードと呼ぶ異なる状態に移行できることを意味している。
ペロブスカイトの原子は通常、格子構造に配置されている。しかし、放射線によって原子が位置から外れ、材料が損傷することがある。振動が原子を元の位置に戻すのに役立つ可能性があるが、このプロセスが正確にどのように機能するかはまだ明らかではない。
次のステップ
我々の発見は、軟らかい材料が宇宙を含む極限環境で特に有用である可能性を示唆している。
しかし、放射線は宇宙で材料が耐えなければならないストレスの一部に過ぎない。ペロブスカイトが真空条件や極端な温度変動と放射線に同時にさらされた場合にどのように耐えるかはまだ不明である。温度が我々のチームが見た修復行動に影響を与える可能性があるが、それを確定するためにはさらなる研究が必要である。
これらの結果は、軟らかい材料が科学者たちが極限環境でうまく機能する技術を開発するのに役立つ可能性を示している。将来の研究は、これらの材料の振動が自己修復特性とどのように関連しているかをさらに深く掘り下げることができるだろう。
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