Qualcommの最新フラッグシップチップ「Snapdragon 8 Elite」を搭載した初の実機となるRealme GT7 Proの性能テストにおいて、深刻な発熱問題が確認された。複数のテクノロジーメディアによる検証では、ベンチマークテスト中に端末が46度まで上昇し、アプリが強制終了する事態が発生している。
初のSnapdragon 8 Elite搭載スマートフォンで判明した深刻な発熱問題
この問題は、3DMarkのGPUストレステスト実行時に顕著となった。テスト開始からわずか14分程度で端末が高温となり、アプリが強制終了。その際、端末は通話機能以外の多くの機能が制限される状態となった。
Digital Trendsでは以下の様に振り返っている:
最初の一連のベンチマークテストを連続して実行したところ、Solar Bayストレス・テストの4分の3が終了した時点で、Realme GT 7 Proはアプリをシャットダウンした。 案の定、私が手に取ると、前面も背面も焼けていた。 Galaxy S24 Ultraは、iPhone 16 Pro Maxと同様、Geekbench 6テストとSolar Bayテストの直後に実行したにもかかわらず、問題なくSolar Bayストレス・テストを完了した。
短時間のベンチマーク・テスト中にオーバーヒートした携帯電話は記憶にないので、これは驚きだった。 Realmeは、GT 7 Proには「Iceberg VC」ベイパーチャンバーシステムが搭載されていると主張しているが、これは11,480mm四方というこのクラス最大のものであるらしい。 携帯電話を冷ましてから、もう一度テストを行った。
Digital Trends
Android Authorityもベンチマークテストが完了できなかったことを報告している:
まず、3DMarkのGPUストレス・テストにこの携帯電話を通し、持続的なパフォーマンスを知ることから始めた。 残念ながら、Realme GT7 Proは3つのストレステスト(Wild Life Stress Test、Wild Life Extreme Stress Test、Solar Bay Stress Test)の途中で3DMarkアプリを終了させてしまった。 この時点でスマホは不快なほど熱く、アプリをシャットダウンすると熱関連の警告が表示された。 また、このデバイスは一時的にいくつかのアプリしか使えないように制限し、通話はできたが、それ以外はほとんどできなかった。
これらの失敗した実行中に収集されたデータによると、携帯電話は摂氏46度という高温を記録した。 これは非常に気になるところだ。
ベンチマーク操作の疑いも浮上
さらに憂慮すべき事実として、Realme GT7 Proによる組織的なベンチマーク操作の存在が明らかになった。Android Authorityによる偽装したベンチマークアプリを使用した検証では、公式アプリと比較してシングルコア性能が63%、マルチコア性能が47%も低下。この極端な差異は、同社が掲げる「11,480平方ミリメートルの業界最大級ベイパーチャンバー冷却システム」の実効性にも疑問を投げかけている。
これに対しRealmeは、「温度と性能管理に関する対象を絞った最適化」を行っていることを認め、「業界での一般的な慣行である」と説明している。また3DMarkの問題については修正版のリリースを予定していると述べている。
実性能はQualcommの主張を下回る
実測データが示す実態はさらに興味深い。通常版ベンチマークでもQualcommが主張する45%の性能向上には遠く及ばず、GPU性能は前世代比29%増に留まっている。この結果は、モバイルプロセッサの設計において「理論値と実効性能の乖離」という古典的な課題が、依然として解決されていないことを示唆している。
特筆すべきは、3DMarkのGPUストレステストにおける温度上昇パターンだ。テスト開始から14分という比較的短時間で端末が46度まで上昇し、システムの強制停止に至る。この急激な温度上昇カーブは、チップの電力効率と熱分散メカニズムに根本的な問題が存在する可能性を示している。
ただし、通常使用では深刻な発熱は確認されていない。Digital Trendsの検証では、30分間のゲームプレイでも軽度の温度上昇に留まったとされている。
テストを再度試す代わりに、電話が冷めるまで待ってから『Asphalt Legends Unite』をプレイした。30分ほどプレイした後、発熱はほんのわずかで、高性能ゲームモードで画面をフル輝度にしてプレイした。 ゲームは問題なく動作し、信じられないほどスムーズでエキサイティングなプレイができた。
Xenospectrum’s Take
今回の問題は、スマートフォンメーカーの過度な性能追求とベンチマーク操作という古くて新しい問題を浮き彫りにした。Snapdragon 8 Eliteは確かに高い性能を持つチップセットだが、その性能を安定して引き出すには適切な冷却設計が不可欠である。
特に懸念されるのは、ベンチマークアプリを検知した際の極端な性能向上だ。これは単なる「最適化」の域を超えており、消費者の製品選択を誤らせる可能性がある。今後リリースされる他社製品での検証が待たれるが、チップメーカーとデバイスメーカーの両者が、持続可能な性能と適切な熱設計のバランスを見直す必要があるだろう。
スマートフォン業界は常により高い性能を追求しているが、それは必ずしもユーザー体験の向上には直結しない。むしろ、安定した性能と適切な温度管理こそが、現代のモバイルデバイスには求められているのではないだろうか。
Sources
- Digital Trends: I used the first Snapdragon 8 Elite phone, and it’s hot stuff
- Android Authority: Our first hands-on with a real-world Snapdragon 8 Elite phone reveals a hot mess
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