地球外知的生命体探索(SETI)が、これまでにない大胆な一歩を踏み出した。SETI研究所の科学者たちが、銀河系の外に目を向け、高度に発達した異星文明の痕跡を探し始めたのだ。この新たな取り組みは、「我々は宇宙でひとりぼっちなのか?」という、長年の疑問に終止符を打つ可能性を秘めたものだ。
銀河の彼方へ:SETIの新たな探索領域
従来、SETIやその他の地球外知的生命体探索プロジェクトは、主に天の川銀河内の目標に焦点を当ててきた。しかし、SETI研究所の電波天文学者Chenoa Tremblay氏と国際電波天文学研究センターの宇宙物理学者Steven Tingay氏は、この限界を超える研究を開始した。
彼らの研究は、銀河系外からの「テクノシグネチャー」、つまり技術的な痕跡を発見することを目指している。Tremblay氏は次のように説明する。「この場合、私たちは銀河内の探索のように単なる通信を探しているのではありません。高度な文明が非常に大規模に環境を操作している兆候を探しているのです」。
研究チームは、マーチソン広視野電波干渉計(MWA)を使用して、1300以上の「外側の」銀河を対象に観測を行った。これは、低周波数帯(98〜128MHz)での初めての銀河系外テクノシグネチャー探索だ。彼らは、単一の恒星のエネルギーを利用したり、複数の恒星を接続したりできる人工的な装置や「メガストラクチャー」の兆候を探している。
超文明の痕跡を追って:カルダシェフ・スケールと研究の展望
研究チームは、1964年にNikolai Kardashevが提唱した「カルダシェフ・スケール」を参照している。このスケールは、文明のエネルギー利用能力に基づいて異星文明をランク付けする方法だ。
- タイプI文明:自らの惑星で利用可能なすべてのエネルギーにアクセスできる
- タイプII文明:恒星全体のエネルギーを直接消費できる
- タイプIII文明:銀河全体のエネルギーを捕捉できる
Tremblay氏とTingay氏の研究は、主にタイプIIとタイプIII文明に焦点を当てている。これらの文明は、地球の望遠鏡に届くほど強力な電磁放射を放出している可能性が高いからだ。
しかし、この探索には課題もある。他の銀河からの電波は、地球に到達するまでに何百万年もの時間がかかる。つまり、仮に何かを発見したとしても、その文明はすでに古代の歴史となっている可能性が高い。
それでも、研究者たちは諦めていない。Tremblay氏は次のように語る。「テクノシグネチャーの探索には多くの未知があります。だからこそ、私たちはあらゆる場所で、あらゆる時に、できる限り多くの探索を行うのです」。
現時点では、まだ明確な発見には至っていないものの、この研究は宇宙における我々の位置づけを再考させる重要な一歩となるだろう。近い将来、欧州の低周波アレイ(LOFAR)を使用した新たな実験が計画されており、高度な異星文明の兆候を特に探索するように設計されている。
Tremblay氏は最後にこう締めくくった。「探索しなければ、何も見つからないのは確実です。そして、私たちは常に新しい探索方法を見出しているのです」。
銀河系外の異星文明探索は、人類の想像力と科学技術の限界を押し広げ続けている。我々は宇宙で本当に孤独なのか、それとも驚くべき隣人が待っているのか。その答えは、遠い銀河の彼方にあるのかもしれない。
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