NVIDIAがDLSS 3において導入した「フレーム生成」テクノロジーは、同社のGeForce RTX 4000シリーズのみで利用できる物ではあるが、ゲームの画質を向上させた上でFPSを大幅に向上させる物で、このGPUを選択する大きな動機となりうる物だ。先日AMDも同様のフレーム生成テクノロジーを他のGPUでも可能にする「FSR 3.1」をリリースし、PCゲームにおいてこの有望なテクノロジーの普及が本格化することが予想されるが、スマートフォンにおいても今後同様の動きが見られそうだ。最新のリークによると、QualcommのSnapdragon 8 Gen 4に搭載のGPU「Adreno 830(仮称)」も、フレーム生成テクノロジーをサポートする可能性があり、これによってモバイルゲーム体験が大幅に向上することが予想されるという。
フレーム生成テクノロジーの導入により『原神』を1080p解像度120fpsで動作させられる
Qualcommの次世代フラッグシップモバイルチップセット「Snapdragon 8 Gen 4」は、Qualcomm独自開発のOryon CPUコアの搭載によって大きな性能向上が期待出来るが、GPUにおいても大きな性能向上が期待出来そうだ。信頼できるリーカーのDigital Chat Station氏は最近のいくつかの投稿で以下の様にSnapdragon 8 Gen 4の新たなフレーム生成テクノロジーについて報告している。
Qualcommの新技術はGPUフレーム生成を実現できます。このフレーム内挿方式の遅延は、外部GPUチップによるフレーム外挿方式よりもはるかに低く、ネイティブの高フレームレートに匹敵します。Snapdragon 8 Gen 4を搭載した新しい端末はこの技術でさらに性能が向上し、古い端末もアップデートによって恩恵を受ける可能性があります。デュアルチッププラットフォームを売りにしているフラッグシップ機種はどうなるのか疑問です。もしゲームで独立GPUのフレーム補間を有効にすると、遅延制御がQualcommのネイティブソリューションほど優れていないため、少し厄介な状況になるかもしれません。
Digital Chat Station
Snapdragon 8 Gen4が正式にGPUフレーム生成技術を搭載しました。原神を1080p解像度で120fpsで安定して動作させられるかどうか期待できます。さらに、Snapdragon 8 Gen3とSnapdragon 8s Gen3もこの技術をサポートしています。メーカーが良心的にこの機能を提供するかどうか注目されています。
Digital Chat Station
ここで同氏が触れている「フレーム生成」とは、GPUによってゲーム内の2つの連続した画像を解析し、その間を補完する全く新しいフレームを生成することで、パフォーマンスを向上させるものだ。これはGPUによって実現されるため、CPUによるボトルネックを回避することにも繋がる。
もちろんフレーム生成にもデメリットがないわけでもない。一部では入力ラグやビジュアルのチラツキなども報告されているが、適切に運用できれば大きなメリットが得られる事も確かだ。
Digital Chat Station氏は以前もSnapdragon 8 Gen 4がモバイルゲーム『原神』を1080pでスムーズに動作させられる可能性があると報告していたが、同氏はこのフレーム生成テクノロジーによってSnapdragon 8 Gen 4は『原神』を1080pの120fpsで動作させられる可能性があると述べている。
Snapdragon 8 Gen 3にもフレーム生成サポートがもたらされる可能性
加えて、このフレーム生成テクノロジーはSnapdragon 8 Gen 4のみならず、現行のSnapdragon 8 Gen 3やSnapdragon 8s Gen 3でもサポートされる可能性があるとDigital Chat Station氏は述べている。現行世代でも最新ゲームのパフォーマンスが向上する可能性があることは既存ユーザーにとっても嬉しい報告だろう。
ただし、フレーム生成はチップセット側だけではなく、ゲーム側での対応も必要となるため、開発者がこの技術を実装するかどうかにかかっていることには注意が必要だ。
Snapdragon 8 Gen 4は、Adreno 830 GPUにおいて全く新しいメモリ圧縮テクノロジーを採用し、GPUの全体的な性能の底上げも図られるという。Qualcommは次世代Snapdragon 8 Gen 4において飛躍的な性能向上を遂げる可能性が高そうだが、対するAppleが次世代A18 Proでどのような性能向上を遂げるのかは不明なままだ。AppleがプラットフォームへのAAAゲームの対応に力を入れていることを考えれば、更なる機能向上や技術採用が行われる可能性はあるだろう。特に、Appleの「MetalFX」がFSRベースだったことを考えれば、同様にFSRベースのフレーム生成テクノロジーが次世代iPhoneで搭載されてもおかしくはないかも知れない。
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