2024年5月31日更新:この記事のソース元が再度確認を行った所、関税免除が延期されることが明らかになったとのこと。詳細はこちらの記事をご覧下さい。
米国Biden政権は、現在中止していた前Trump政権が課していた中国向けの関税を復活させるように動き始めているようで、これが実現された場合PCパーツの価格が上がる可能性がある。
多くのPCパーツに25%の関税が適用される可能性
Donald Trump大統領時代の2018年、米国は中国製の多くのPC部品に10%の関税をかけ始めた。2019年5月にはこれが25%にまで引き上げられたが、その後、Intel、 Acer、HPEなどのロビー活動の成果もあって、2019年9月にはグラフィックボード、マザーボード、デスクトップケースなど、中国製の特定のPC部品に対する関税が1年間免除されることが決定した。
その後米国では政権が変わり、Joe Biden大統領の下、Trump政権の定めた関税は一時中止されており、その再実施が延期されていたが、今回その関税が再開する可能性がある。
PCMagによれば、米国通商代表部(USTR)はホワイトハウスに対し、「対象製品に対する関税を維持する」よう勧告したとの通知を発行したとのことだ。USTRのスポークスパーソンはPCMagに対し、「現在対象となっている製品に対する関税を維持している」と述べている。
関税が適用される品目としては、Trump政権時代に適用されたグラフィックボード、マザーボード、デスクトップケース、100ドルを超える価値のトラックパッドユニットや500ワット以上の出力を持つ電源ユニットが含まれるとのことだ。詳細は以下の通りだ:
- コンピュータ画面に画像を描写するためのプリント基板アセンブリ(「グラフィックス処理モジュール」)(統計報告番号 8473.30.1180 で記載)
- 自動データ処理(ADP)機器のグラフィックス性能を向上させるためのプリント基板アセンブリ(「アクセラレータモジュール」)(統計報告番号 8473.30.1180 で記載)
- 未完成のロジックボードを構成するプリント基板アセンブリ(統計報告番号 8473.30.1180 で記載)
- 見出し 8471 の機械の部品および付属品で、ファンハブまたはLEDを組み込むかどうかにかかわらず、見出し 8541 または 8542 のその他の品目を組み込まないもの(統計報告番号 8473.30.5100 で記載)
エレクトロニクス業界のロビー団体である、「Consumer Technology Association(CTA)」はホワイトハウスに関税の終了を求めたようだが、CTAの国際問題担当副社長であるEd Brzytwa氏によればそれは望めず、「何も除外されることはなく、ただ関税の引き上げだけが行われています」と述べているようだ。
ただし、今のところUSTRはこの関税を継続するための公式な連邦通知を発行しておらず、再開日についても言及していない。
Brzytwa氏は、「共和党と民主党の間で、どちらが中国に対して厳しく、保護主義的であるかの競争があるように思える」と述べており、次期米国大統領選に向けた1つのパフォーマンスである可能性も指摘する。ただし、これは消費者価格の上昇という代償を伴う諸刃の剣だ。
新しい関税の適用は、特にマザーボードやGPUのような主流のPCコンポーネントの価格が大幅に上昇することに繋がる可能性もある。ただし、一部エレクトロニクスのサプライチェーンは2019年にも関税を回避するため、一部の製造を中国から台湾やベトナムなどにシフトし、コストへの転嫁を最小限に抑える事にも成功している。例えばグラフィックボードやマザーボードの大手でベンダーであるAsus等も既に中国以外への拠点分散を行っている。
ただし、中国に大きく依存している一部の中小規模ベンダーは関税の影響を受けるかも知れない。ZotacはUSTRに対し、「中国は依然として業界におけるビデオグラフィックスカードとパーソナルコンピュータの主要な製造拠点である。主な理由は、上流のサプライチェーンが依然として主に中国に存在するためである」と述べている。
PCパーツベンダーや産業界は、今回の関税復活の動きに強く反対しており、これが貿易活動を抑制し、関税が課されたアイテムの購入をこれまで以上に複雑にすると主張している。
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