Microsoftは、2025年10月14日にサポート終了を迎えるWindows 10について、個人ユーザー向けに30ドル(約4,500円)で1年間のセキュリティアップデートを延長提供することを発表した。これは同社が初めて個人ユーザー向けにExtended Security Updates(ESU)プログラムを提供するケースとなる。
個人向けESUプログラムの詳細
新プログラムでは、重要(Critical)および重要度の高い(Important)セキュリティアップデートが提供される。ただし、新機能の追加やバグ修正、技術サポートは含まれていない。プログラムへの登録方法については、サポート終了時期が近づく2025年に詳細が公開される予定である。
なお、Windows DefenderアンチウイルスのDefinitionアップデートについては、少なくとも2028年10月まで継続して提供されることが明らかにされている。
法人向けとの料金差
今回の一般消費者向けESUプログラムは、法人向けESUプログラムとは異なる料金体系が採用されている。法人向けでは初年度が1デバイスあたり61ドル、2年目が122ドル、3年目が244ドルと毎年倍額となる。一方、教育機関向けには大幅な割引が適用され、初年度1ドル、2年目2ドル、3年目4ドルとなっている。
個人向けプログラムは1年限定であり、延長オプションは用意されていない。
市場シェアとWindows 11への移行課題
この決定の背景には、Windows 10の高い利用率がある。現在、Windows OSの市場シェアの約62%をWindows 10が占めており、Windows 11は発売から3年が経過した現在も33%程度にとどまっている。
Windows 11への移行が進まない主な要因は、TPM 2.0セキュリティチップの要件など、比較的厳しいハードウェア要件にある。これにより、多くの古いPCではWindows 11を実行できない状況となっており、これがWindows 11の普及が進まない原因とされている。
Xenospectrum’s Take
MicrosoftのこのESU戦略には、2つの重要な側面がある。1つは、依然として多くのユーザーが利用するWindows 10のセキュリティリスクを最小限に抑えることである。もう1つは、Windows 11への移行を促進しながらも、ハードウェア要件を満たさないユーザーに対して現実的な選択肢を提供することである。
30ドルという料金設定は、個人ユーザーにとって比較的手の届きやすい金額であり、特にハードウェアのアップグレードが困難なユーザーにとっては、セキュリティを維持するための現実的な選択肢となるだろう。ただし、1年限定という制約は、長期的にはWindows 11への移行か、新しいデバイスの購入を検討する必要性を示唆している。
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