中国は、世界初の商用海底データセンターを進めており、海南島の南に位置する沿岸都市・三亜の沖の水深35メートルの海底に1,300トンのデータストレージユニットを沈める事に成功した事を発表したようだ。プロジェクトの総合マネージャーであるPu Ding氏によると、完成したデータセンターは、陸上に設置されたセンターと比較して、40〜60%の電力効率が向上するとのことだ。
水中に設置することで冷却エネルギーを大幅に節約
データセンターを水中に配置するという、アイデア自体は新しいものではなく、既にMicrosoftが2013年に「Project Natic」を発表し、2018年に建設を開始している。今回の中国の取り組みは商用化という点で世界初となる。
水中データセンターの概念は、冷却コストの削減と環境への影響を最小限に抑えるという点で注目されている。通常、データセンターは大量のエネルギーを消費し、特に冷却システムが大きな電力を必要とする。水中に設置することで、自然の水温を利用して効率的に冷却することが可能になり、エネルギー消費を大幅に削減できると考えられている。
「このデータセンターは自然に自己冷却することができます。水冷技術はまた、サーバーの密度を高め、コンピューティングパワーを向上させるのにも役立ちます」と、中国情報通信技術アカデミー(CAICT)のCTTLターミナルズのシニアエンジニア、Xie Qian氏は述べている。
さらに、海底データセンターは、広大な海底のスペースを利用して土地コストを削減する。また、人間の居住地から遠く離れており、干渉を受けにくい。海中環境はほこりや酸素がないため、電子機器はより長持ちし、故障も少なくなる。
「一部の海底データセンターは沿岸都市の近くに設置されるため、ネットワークのコアノードに近く、ネットワーク応答が速くなります」とXie氏は説明している。
今回中国が取り組んでいるこのデータモジュールは、30秒以内に400万枚の高解像度画像を処理する能力を持ち、これは60,000台の従来型コンピュータの性能に匹敵するとのことだ。
完全稼働すると、この海底データセンターは年間で68,000平方メートルの土地(約10個の標準サッカー場に相当)を節約し、1億2200万キロワット時の電力と10万5000トンの淡水を節約することが期待されている。
データセンターモジュールは、水深30メートル以上の場所にあり、設計寿命は25年とのことだ。台風などの自然災害に対する懸念に対しては、同じ場所に以前設置されたデータモジュールが7月の台風タリム中に正常かつ安定した性能を示したことが報告されている。
この海底データプロジェクトには、中国電信を含む9社が契約を結び、協力している。
このプロジェクトは、データセンター技術の進化において重要なマイルストーンであり、エネルギー効率の高い、環境に優しいデータ管理の新たなモデルを提供するものだ。また、自然災害への耐性や長期的な安定性に関するデータも、今後の海底データセンターの開発において重要な指標となるだろう。
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