Logitech(日本名:ロジクール)は、クリエイターの作業効率を飛躍的に向上させるツールとして、Adobe Creative Cloud専用のマクロパッド「MX Creative Console」を発表した。
MX Creative Console:クリエイターの強力な味方
Logitechの新製品「MX Creative Console」は、Adobe Creative Cloudユーザー、特にPhotoshop、Premiere Pro、Lightroom Classicなどを日常的に使用するプロフェッショナルを対象としている。この2ピース構成のデバイスは、9つのLEDディスプレイキーとページ切り替え用の2つの矢印キーを備えた有線キーパッドと、大型のノブ、ジョグホイール、4つの追加ボタンを備えたダイヤルパッドで構成されている。
MX Creative Consoleの最大の特徴は、Adobe Creative Cloudアプリケーションとの緊密な連携にある。Logitechは Adobe との協力により、Photoshop、Lightroom Classic、Premiere Pro、After Effects、Audition、Illustratorなどの人気アプリケーション用にカスタムプラグインを開発した。これにより、ユーザーは複雑な操作を単一のボタンプレスに集約し、作業効率を大幅に向上させることができる。
例えば、Premiere Proでは主要なダイヤルを使ってタイムラインをスクラブしたり、ダイヤル周囲の4つのボタンで「元に戻す」などの機能を素早く実行できる。Photoshopではメインダイヤルを回転させてブラシサイズを調整したり、ローラーを使ってズームイン/アウトが可能だ。さらに、Adobe Photoshopの「生成塗りつぶし」やAdobe Premiere Proの「文字起こしベースの編集」など、AI機能との連携も強化されている。
MX Creative Consoleは、Windows、Macの両OSに対応しており、無料のLogi Options+ソフトウェアを使用することで、アプリケーションごとにコントロールやプラグイン、プロファイル、アイコンをカスタマイズできる。また、Logi Marketplaceを通じて機能拡張も可能だ。
Logitech MX General Manager の Anatoliy Polyanker 氏は、「MX Creative Consoleは、ユーザーのワークフローを再定義し、よりスマートかつ迅速に作業できるよう設計されています」とコメントしている。
価格は$199.99で、2024年10月14日から出荷が開始される。また、購入者には3ヶ月分のAdobe Creative Cloud All Appsメンバーシップが無料で付属する。カラーバリエーションはグレイとグラファイトの2色展開で、本日から予約受付を開始している。なお、日本での販売は現時点では不明だ。
競合製品との差別化
MX Creative Consoleは、Elgato、Razer、Cooler Masterなど、すでにマクロパッド市場で確立されたプレイヤーに挑戦する形となる。$199.99という価格設定は、$60から始まるStream Deckや、同価格帯のRazer Stream Controller、Elgato Stream Deck Plusと比較すると高価に見える。
しかし、Logitechは大手メーカーの中で唯一、ダイヤルパッドとキーパッドの組み合わせを提供している。これにより、Adobe アプリケーションを使用するクリエイティブ業界のプロフェッショナルにとって、非常に適したデバイスとなっている。競合製品の多くがライブストリーミングやオーディオプロダクションに焦点を当てているのに対し、MX Creative Consoleはビジュアルクリエイティブワークフローに最適化されている点が大きな特徴だ。
最も近い競合製品であるCooler Master MasterHUBは、完全なモジュラーキットで$399と2倍の価格設定であり、現時点ではまだKickstarterでのクラウドファンディングによって、支援を募っている段階にある。さらに、Adobe アプリワークフロー専用に設計されていないため、各アプリのショートカットをプログラムするのに時間がかかる可能性がある。Adobeアプリに最適化されているというMX Creative Consoleの利点はまさにその違いにあるだろう。
一方で、MX Creative Consoleは Adobe 以外のアプリケーションでの使用には制限がある。DaVinci ResolveやGIMPなどの非Adobe製ソフトウェアで使用する場合は、ユーザー自身がコンソールをカスタマイズする必要がある。ただし、Logi Options+アプリのPlugin Marketplaceを通じて、Spotify、Capture One、Zoomなど、選択されたアプリ用のプラグインをダウンロードすることで、より広範なソフトウェアとのシームレスな連携が可能になる。
Logitechの戦略は、クリエイティブプロフェッショナル向けの特化型デバイスとして、Adobe Creative Cloudとの緊密な連携を強みに市場シェアを獲得することにある。同社は昨年、Stream DeckのライバルであるLoupedeckを買収しており、クリエイティブツール市場への本格参入を示している。
この動きは、デジタルクリエイティビティの急速な変革と、3Dデザイン、空間コンピューティング、AIを活用したワークフローの台頭という市場トレンドに対応したものだ。Logitechは、MX Creative ConsoleとローンチしたMX Inkを通じて、これらの重要なトレンドに積極的に対応している。
さらに、Logitechは持続可能性にも配慮している。MX Creative Consoleは、Graphiteモデルでは72%のポストコンシューマーリサイクルプラスチックを使用し、再生可能エネルギーで生産されたアルミニウムを採用。さらに、FSC認証の紙パッケージを使用するなど、環境負荷の低減にも取り組んでいる。
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