Qualcommの次世代フラッグシップチップ「Snapdragon 8 Elite Gen 2(仮称)」が、前モデルから更なる大幅な値上げとなる可能性が浮上した。韓国メディアKIPOSTの報道によると、2025年末の発売に向けて、同社は既にスマートフォンメーカーとの価格交渉を開始している。
Snapdragon 8 Elite Gen 2値上げの背景と具体的な価格予測
現行のSnapdragon 8 Eliteは、前世代のSnapdragon 8 Gen 3から約20〜30%の値上げとなる約190ドル前後で供給されていると言われているが、次世代モデルでは、TSMCの最新3nmプロセス「N3P」の採用や、性能向上のための設計変更により、ここから更に20%程度の値上げが予想され、チップセット単体の供給価格は約230ドルに達する可能性があるというのだ。
当初検討されていたSamsungの2nmプロセス「SF2」によるデュアルソーシング戦略は断念され、TSMCの N3Pプロセスに一本化されることも伝えられており、この製造戦略の変更により、コスト低減の余地が著しく限られることとなったことも伝えられている。
性能向上と新たな技術的特徴
Snapdragon 8 Elite Gen 2は、現行モデルから20%以上の性能向上を目標に開発が進められている。現行チップの最大クロック周波数4.47 GHzに対し、新モデルでは5.0 GHz到達の可能性も示唆されている。これにより、ベンチマークスコアAnTuTuでは現行の約300万ポイントから360万ポイント近くまでの向上が期待される。
ただし、高クロック化に伴うピーク時の消費電力増加と発熱の悪化が懸念されており、これらに対応するため、デバイス側でも追加的なコスト増加も予想され、スマートフォン全体として更なる値上げに繋がる可能性もありそうだ。
Xenospectrum’s Take
今回の値上げ報道は、スマートフォン業界全体にとって深刻な影響をもたらす可能性がある。特に注目すべきは、チップセットの高性能化に伴うメモリー周りの強化要求だ。これは単なるチップセットの値上げに留まらない、システム全体でのコスト上昇を意味する。
中国メーカーを中心に、既に一部企業では高性能チップの搭載を口実に他の部分のスペックを下げる戦略を取っているが、今後はその傾向がより顕著になるだろう。皮肉なことに、最先端技術の追求が、却って製品の全体的な品質低下を招くという本末転倒な事態を引き起こしかねない。
2025年末以降のハイエンドスマートフォン市場は、より一層の二極化が進む可能性が高い。プレミアム価格帯での競争は、技術的優位性よりも、むしろブランド力と価格設定の妥当性を巡る戦いになるかもしれない。
Sources
- KIPOST
- via Jukanlosreve
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