OpenAIのSam Altman CEOは、12月5日から20日まで12営業日連続で新機能やプロダクトを発表する「12 Days of OpenAI」の開催を発表した。毎日午前10時(太平洋時間)からのライブストリームで、大小様々な新機能のデモや発表が行われる予定である。
注目される主要リリース候補
OpenAIの新製品発表イベントで登場が期待される物は数多いが、特に動画生成AI「Sora」と推論モデルの「o1」の正式バージョンが挙げられるだろう。
テキストから動画を生成するSora
今回のイベントでは2024年2月に発表されたテキストから動画を生成するAIモデル「Sora」の一般提供が有力視されている。同モデルは招待制のテスト期間中にあったが、一部アーティストが「無報酬のR&DとPR活動に利用された」として抗議の意を示すために情報をリークする事態も発生。Mira Murati前CTOは3月、2024年内の提供開始を表明していた。
推論能力を強化した「o1」モデル
複数のX(旧Twitter)ユーザーによると、完全版の「o1」モデルが一時的に「chatgpt.com/?model=o1」で利用可能になっていたという報告がある。このモデルは約20万トークンを処理でき、画像分析も可能とされる。現在までミニ版とプレビュー版のみがリリースされているが、完全版は特に数学的能力において大幅な性能向上が期待されている。
業界での競争激化
AI業界における動画生成技術の主導権争いが激化している。GoogleはOpenAIのSora発表からわずか3ヶ月後の2024年5月に、独自の動画生成モデル「Veo」を発表。現在はVertex AIプラットフォームを通じて企業向けにプレビュー提供を開始している。これにより、企業は自社のコンテンツ制作パイプラインにAIによる動画生成機能を組み込むことが可能となった。
面白いのは、GoogleがOpenAIとは異なるアプローチを取っている点だ。OpenAIがアーティストとの協力を通じてSoraの性能向上を図る戦略を採用する一方、Googleはビジネスユースケースに特化した展開を進めている。この戦略の違いは、両社のAI技術の社会実装に対する異なるビジョンを反映している。
さらに、o1モデルの完全版リリースをめぐる状況も、AI業界の競争環境を一層複雑にしている。このモデルは数学的能力と画像分析能力を組み合わせた新しいタイプのAIとして注目を集めており、GoogleやAnthropicなどの競合他社に対するOpenAIの技術的優位性を示す重要な指標となる可能性がある。
Xenospectrum’s Take
OpenAIの年末の大規模な製品発表は、AIの実用化フェーズが本格的に始まったことを示唆している。特に注目すべきは、数学的能力を強化した「o1」モデルの完全版リリースの可能性だ。これは、AIの応用範囲を大きく広げる可能性を秘めている。一方で、Soraのリリースを巡るアーティストとの軋轢は、AIの進化に伴う新たな倫理的・経済的課題を浮き彫りにしている。「12 Days of OpenAI」は、技術革新の祝祭であると同時に、AI産業の成熟度を測る試金石となるだろう。
Sources
コメント