ChatGPTの利用者が増加する中、OpenAIは同プラットフォームにフォルダ機能に似た新機能「プロジェクト」を実装した。この機能により、ユーザーはチャット履歴やファイルを効率的に整理し、AIとの対話をプロジェクトごとに最適化できるようになる。
プロジェクト機能の詳細
新機能「プロジェクト」は、サイドバーに表示されるフォルダシステムとして実装された。ユーザーは各プロジェクトにタイトルを設定し、アイコンの色をカスタマイズすることが可能だ。さらに重要な特徴として、プロジェクトごとにChatGPTの応答方法をカスタマイズできる指示機能が搭載されている。
ユーザーは関連文書をアップロードすることができ、アップロードされたドキュメントとそれに関連するチャットから情報を取得し、それに則った返答が行えるようになる。
AnthropicがClaudeチャットボットで既に同様のプロジェクト機能を実装していたが、ChatGPTでは既存のチャット履歴を特定のプロジェクトに関連付けることも可能で、それらは新たな対話の際の参照データとして活用される。この機能により、長期的なプロジェクト管理や、複数の関連タスクの統合的な管理が実現する。
展開状況と今後の計画
現在、プロジェクトはChatGPT Plus、Pro、およびTeamsユーザーに提供されており、無料ユーザーへの展開も予定されている。Enterprise版とEdu版のユーザーは2024年初頭からの利用開始となる。
ChatGPTのWebサイトまたはWindowsデスクトップアプリからはプロジェクトの編集や閲覧が可能だ。モバイルアプリとMacOSデスクトップアプリではプロジェクトの閲覧のみが可能となっている。
OpenAIは2025年に向けて、本機能のさらなる拡張を計画している。具体的には以下の機能追加が予定されている:
- 対応ファイル形式の拡大
- Google DriveやMicrosoft OneDriveとの連携
- モデル切り替え機能の実装
Xenospectrum’s Take
プロジェクトの実装は、OpenAIがプラットフォームの統合化を目指す明確な証左である。競合のGoogleが提供するNotebookLMが別アプリとして展開されているのに対し、OpenAIはCanvas機能と同様、すべての機能をChatGPT内に統合する戦略を取っている。
この動きは、AIプラットフォーム間の差別化競争が、単なる言語モデルの性能から、ユーザー体験の統合度へとシフトしていることを示唆している。ただし、皮肉なことに、この「フォルダ機能」という極めて伝統的なUIの実装が、最先端AI企業の競争の焦点となっているのは、やや興味深い現象と言えるだろう。
Sources
- OpenAI(YouTube): Projects—12 Days of OpenAI: Day 7
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