米AI検索エンジンのPerplexity AIが、動画共有アプリTikTokの米国事業との合併を目指し、中国ByteDanceに対して正式な提案を行った。CNBCの報道によると、提案されている取引額は500億ドル(約7.5兆円)を「大きく上回る」規模になる見通しだ。
Perplexity AIによる合併提案の詳細
Perplexity AIが提案しているのは、同社とTikTok米国事業、そして新規の資本パートナーを統合した新会社の設立だ。この提案の特徴的な点は、ByteDanceの既存投資家の大半が持分を維持できる構造になっていることだ。これは、ByteDanceが繰り返し表明してきた「売却しない」という方針への配慮と見られる。
Perplexity AIは2024年に急成長を遂げたAI企業で、年初の企業価値が約5億ドルだったものの、生成AIブームを背景に年末には90億ドルまで急上昇。現在、月間アクティブユーザー数は約1,500万人、月間クエリ数は1億件を超えている。
政治的背景と時間との戦い
この提案は、TikTokの米国での存続が危機に瀕するなか行われた。米国では2025年1月19日(日)に、ByteDanceにTikTokの売却を求める法律が発効する。これに対してTikTokは、現Biden政権が Apple やGoogleなどのサービスプロバイダーに対する制裁を行わないことを保証しない限り、米国でのサービスを「停止せざるを得ない」と表明している。
しかし、事態は新たな展開を見せている。1月22日に就任予定のDonald Trump次期大統領は、就任後にTikTokに90日間の猶予を与える可能性が「極めて高い」と述べている。これを受けて、TikTokのShou Zi Chew CEOは動画メッセージを投稿し、Trump氏の協力姿勢に謝意を表明した。
業界への影響
この合併案が実現すれば、検索エンジンと短尺動画プラットフォームという異なる特性を持つサービスの統合という、前例のない試みとなる。Perplexity AIにとっては、競合するGoogleやOpenAIに対抗するための動画コンテンツ獲得という狙いがあるとみられる。
一方で、この取引の実現には複数の課題が存在する。第一に、中国当局の承認が必要となる可能性が高い。また、ByteDanceが本当に合併に応じるかという点も不透明だ。さらに、既報のElon Musk氏への売却案や、Kevin O’Learyらが提案している200億ドルの現金での買収案など、複数の選択肢が存在している状況だ。
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