Sony最上位のワイヤレスヘッドホン「WH-1000XM」シリーズの新型モデルとなる「WH-1000XM6」の詳細が、FCCの認証文書から明らかになった。着脱可能なイヤーパッドの採用や、ヒンジ構造の刷新など、ユーザビリティの向上が示唆される変更が確認された。
着脱可能なイヤーパッドを採用、メンテナンス性の向上へ
新型モデルの最も注目すべき変更点は、イヤーパッドの着脱機構の採用である。FCC申請書類に含まれる図面では、製品のシリアル番号などが記載されたネームプレートがイヤーパッド下部に配置される設計が確認された。現行のXM5では、これらの情報がイヤーパッド内側の縁に記載されている。
この設計変更により、イヤーパッドの交換や清掃が容易になることが期待される。ただし、着脱機構の具体的な仕組み(マグネット式か、クリップ式か)については、文書からは判断できない。
また、図面からは、ヒンジ部分の設計変更も確認できる。XM5では批判の的となった折りたたみ機構の省略について、XM6では再び採用される可能性が示唆される。ヒンジ部分には新たな継ぎ目やラインが確認され、より複雑な機構の採用を示唆している。
技術仕様の進化
通信面では、最新のBluetooth 5.3規格への対応が確認された。この規格では、従来のBR/EDR方式に加え、省電力性に優れたLEプロトコルもサポートされる。ただし、The Walkman Blogの分析によると、LEの表記は単なる低消費電力機能を示すものであり、高品質なオーディオ伝送を実現するLE Audio対応を必ずしも意味するものではないとしている。
アンテナ設計においては、現行のXM5で採用されているチップアンテナから「Inverted-F」型アンテナへの変更が行われる。アンテナゲインも1.6 dBiから2.91 dBiへと大幅に向上している。この変更により、電波の受信感度が約80%向上することが期待され、接続の安定性や通信可能範囲の拡大につながる可能性が高い。
音響性能に直結するドライバーユニットについては、現行モデルと同じ30mmサイズが維持される見込みである。ドライバーサイズの維持は、XM5で確立された高音質性能の基盤を踏襲する意図があると推測される。
電源系統では、バッテリー電圧が現行モデルと同じ3.8Vを採用。急速充電については、5Vと9Vの二段階充電に対応することが文書から確認できる。歴代モデルでは、バッテリー容量がXM3の1000mAhからXM4で1100mAh、XM5で1200mAhと世代を追うごとに増加してきた経緯がある。この傾向を考慮すると、XM6でもさらなる容量アップが期待される。
プロセッサについては、Bluetooth接続のテストに使用されたソフトウェアが、XM5と同じ「Headset_BT_Test」であることが判明している。The Walkman Blogの分析では、この事実からMediaTekのSoC(System-on-Chip)の採用が継続される可能性が高いとしている。これに関連して、高音質コーデックのaptXについては、SonyがMediaTek製SoCへの移行以降、搭載を見送っている経緯があり、XM6でも同様に非対応となる可能性が指摘されている。
発売時期の予測
FCC申請における機密情報の開示期限は2025年7月22日に設定されている。過去の事例では、XM5が機密期限の約13週間前となる2022年5月に発表されたことを考慮すると、XM6は2025年4月末から5月初旬での発表が予想される。
Sources
- FCC
- The Walkman Blog: Sony WH-1000XM6 (YY2984) hits the FCC (Update)
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