ChatGPTを開発するOpenAIが、SoftBankグループ主導で最大400億ドル(約6兆円)の資金調達を進めている。Wall Street Journal(WSJ)の報道によると、調達成功時の企業価値は3400億ドルに達する見込みだ。巨額資金はAIデータセンター構想「Stargate」の推進と、継続的な赤字事業の維持に充てられるという。
大型調達の詳細と資金使途
OpenAIは2024年10月時点で1570億ドルと評価されていたが、今回の調達で約2.2倍の価値向上が見込まれる。SoftBankは150億~250億ドル(3兆8000億円)を単独出資し、他の投資家への勧誘も主導する。WSJによれば、調達資金の一部は「年間50億ドルの損失」を計上する現事業の維持と、国家規模のAIインフラ構想「Stargate」に充てられる。
同社の財務状況は深刻で、2024年度の収益37億ドルに対し損失は50億ドルに達した。Stargateプロジェクトの総投資額は5000億ドルと試算され、OpenAIとSoftBankがそれぞれ190億ドルを拠出済みだ。残額は既存投資家からの追加調達と債務融資で賄う計画という。
業界再編を迫るインフラ競争
Stargate構想は米国全域にAI専用データセンター網を整備する国家プロジェクトだ。Oracleや投資会社MGXと連携し、政府との協業も視野に入れる。一方、中国のAI研究所DeepSeekが560万ドル相当のGPU時間で開発したオープンソースモデル「R1」が、OpenAIの推論特化モデル「o1」と同等性能を達成。低コスト開発の可能性を示した。
この技術格差の縮小はOpenAIに新たな危機感を与えている。同社CEO Sam Altman氏は「より優れたモデルを提供する」と宣言したが、競争激化により収益化のプレッシャーは増大。現在のサービス提供コストは1回の検索あたり約17セントと、収益を大幅に上回る状態が続いている。
Source
- The Wall Street Journal: OpenAI in Talks for Huge Investment Round Valuing It Up to $300 Billion
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