米国でかつて活躍したスーパーコンピューター「Cheyenne」が米国一般調達局(GSA)によって売りに出され、現在オークションに出されていることが明らかになった。入札は2,500ドル(394,000円)から開始され、この記事の執筆時点での入札価格は28,085ドル(4,429,830円)となっている。
スーパーコンピューター「Cheyenne」は2016年に誕生し、NCAR-Wyoming Supercomputing Center (NWSC)がHPCアプリケーション、特に気候モデリングと気象予測を含む科学研究に利用していた。Cheyenneはそれ以前に使用されていた「Yellowstone」の3倍のパワーを持ち、ピーク性能5,340TFLOPS(4,788Linpack TFLOPS)であり、消費電力1ワットあたり毎秒30億回以上の計算が可能だった。その後7年間科学研究に役立てられた。
大気研究大学(UCAR)は、Cheyenneの公式情報ページで、「Cheyenneは、その存続期間中、70億コアアワー以上を提供し、4,400人以上のユーザーにサービスを提供し、約1,300のNSF賞をサポートしました。教育面でも重要な役割を果たし、80以上の大学のコースやトレーニングイベントをサポートしました。また、早期の大学院生やポスドクを対象に、1,000件近くのプロジェクトが授与されました。おそらく最も重要なことは、Cheyenneが推進した研究によって、4,500以上の査読付き出版物、学位論文、その他の著作物が生み出されたことです」と、その活躍を紹介している。
Cheyenneは水冷式を採用し、SGI ICE XAモジュール、28ラック、8,064個のIntel E5-2697v4 CPU(合計145,152コア)を搭載している。ノードあたり64GBのDDR4-2400 ECCシングルランク、ノードあたり128GBの3つのハイメモリEセル、合計313TBを搭載していた。
2つの空冷管理ラックは、26台の1Uサーバー(20台が128GB RAM、6台が256GB RAM)、10台のExtremeスイッチ、2台のExtremeスイッチ電源ユニットで構成されている。
UCARによれば、Cheyenneは当初5年で引退する予定であったが、新型コロナウイルスの大流行によりサプライチェーンが大きく寸断され、システムの更新に支障が出たため、2年の任期を延長したとのことである。
ただし、保守を続けるには老朽化や問題が多く生じていることが判明した。「システムは現在、水しぶきの原因となるクイックディスコネクトの不具合により、メンテナンスが制限されています。この問題の解決にかかる費用とダウンタイムを考えると、この問題はコンピュートノードの予想される故障率よりも不利であると考えられます。この間、約1%のノードで障害が発生しましたが、その主な原因はECCエラーのあるDIMMであり、これらは未修理のままとなります。さらに、システムは冷却液の排出を行う予定です」と、オークションページの説明には書かれている。修理にかかる費用とダウンタイムを考慮し、コンポーネントをオークションにかけることを決定した。
修理自体は可能であるが、機器の多くがカスタムされている事は注意が必要だ。
また、輸送は落札価格には含まれていない。「このシステムを移動するには、専門の引越し業者に依頼する必要がある。購入者は、その設備を使って施設からトラックにラックを移す責任を負う」と、オークションページには書かれている。
Source
- GSA Aucitions: Cheyenne Super Computer
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