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Qualcomm、新型Snapdragon Gシリーズ発表:ポータブルゲーミング体験を革新

2025年3月18日

Qualcommは、ポータブルゲーム機向けに特化したSoC「Snapdragon Gシリーズ」の2025年ラインナップを発表した。新製品は、G3 Gen 3、G2 Gen 2、G1 Gen 2の3モデルで構成され、それぞれ異なる性能と用途で、多様なプレイヤーの要求に応える。

フラッグシップモデル「Snapdragon G3 Gen 3」:Unreal Engine 5 Lumenに対応

Snapdragon G3 Gen 3は、シリーズ最上位モデル。最大の特徴は、Androidポータブルゲーム機向けとして、Snapdragon Gシリーズで初めてUnreal Engine 5の完全動的グローバルイルミネーションおよび反射システム「Lumen」に対応した点だ。Lumenによって、Androidポータブルゲーム機向けゲームのグラフィック品質を飛躍的に向上させることが可能になる。

CPUは8コアのKryo CPU(1つのプライムコア、5つのパフォーマンスコア、2つの高効率コア)を搭載。前世代と比較して、CPUパフォーマンスが30%、GPUパフォーマンスが28%向上している。さらに、電力の最適化とエネルギー効率も改善。

GPUはAdreno A32で、ハードウェアアクセラレーテッドレイトレーシングをサポート。加えて、「Snapdragon Game Super Resolution」および「Adreno Frame Motion Engine 2.0」テクノロジーにも対応し、滑らかで高品質な映像表現が可能だ。

ディスプレイは最大QHD+解像度、144Hzのリフレッシュレートに対応。Wi-Fi 7とBluetooth 5.3をサポートし、低遅延かつ広帯域のワイヤレス接続で、快適なゲームプレイを実現する。

Snapdragon G3 Gen 3は、AYANEO Pocket S2、AYANEO Gaming Pad、OneXPlayer OneXSugarに採用されることが決定している。

ミドルレンジモデル「Snapdragon G2 Gen 2」:性能と効率のバランスを重視

Snapdragon G2 Gen 2は、専用ゲームデバイスでのゲームプレイとクラウドゲームに最適化されたミドルレンジモデル。前世代のSnapdragon G2 Gen 1と比較して、CPUパフォーマンスが2.3倍、GPU性能が3.8倍と大幅に向上している。

CPUは8コアのKryo CPU(1つのプライムコア、4つのパフォーマンスコア、3つの効率コア)を搭載。GPUはAdreno A22で、「Snapdragon Game Super Resolution」と「Adreno Frame Motion Engine 2.0」テクノロジーに対応する。

ディスプレイは最大QHD+解像度、144Hzのリフレッシュレート。Wi-Fi 7とBluetooth 5.3もサポート。Retroid Pocketの次世代ゲーム機に採用予定。

エントリーモデル「Snapdragon G1 Gen 2」:クラウドゲームに特化

Snapdragon G1 Gen 2は、クラウドゲームに特化したエントリーモデル。より多くのユーザーに、安定したゲーム体験を提供する。

CPUは8コアのKryo CPU(2つのパフォーマンスコア、6つの効率コア)を搭載。前世代と比較し、CPUパフォーマンスは80%、GPUパフォーマンスは25%向上している。GPUはAdreno A12。

ディスプレイは最大FHD+解像度、120Hzのリフレッシュレートに対応。Wi-Fi 5とBluetooth 5.1をサポートする。Retroid Pocket Classicが、Snapdragon G1 Gen 2を採用する最初のゲーム機となる。

以下は、新旧Snapdragon Gシリーズの仕様比較表である:

プラットフォームCPU構成GPU接続ディスプレイ対応
Snapdragon G3 Gen 38コア(プライム1 + パフォーマンス5 + 高効率2)Adreno A32Wi-Fi 7、BT 5.3QHD+ 144Hz
Snapdragon G3x Gen 28コアAdreno A32Wi-Fi 7、BT 5.3FHD+ 144Hz
Snapdragon G2 Gen 28コア(プライム1 + パフォーマンス4 + 高効率3)Adreno A22Wi-Fi 7、BT 5.3QHD+ 144Hz
Snapdragon G2 Gen 18コアAdreno A21Wi-Fi 6/6E、BT 5FHD+ 144Hz
Snapdragon G1 Gen 28コア(パフォーマンス6 + 高効率2)Adreno A12Wi-Fi 5、BT 5.1FHD+ 120Hz
Snapdragon G1 Gen 18コアAdreno A11Wi-Fi 5、BT 51080p 60Hz

ポータブルゲーム機市場とQualcommの戦略

近年、Steam DeckやROG Ally、Lenovo Legion Goなどの登場により、ポータブルゲーム機市場は急速に拡大している。これらの主要デバイスはAMDのプロセッサを採用しており、特にAMDのPhoenix APUシリーズは市場シェアの大部分を占めている。

Qualcommがこの市場に本格参入する背景には、モバイルゲーム市場の成長とクラウドゲーミングの普及がある。同社はスマートフォンチップセット市場での成功体験を活かし、モバイルゲーム、クラウドゲーム、そしてネイティブPCゲームの境界が曖昧になりつつある新しいゲーミング市場に照準を合わせている。

Qualcommのシニアディレクター、Micah Knapp氏は「Snapdragon Gシリーズゲーミングプラットフォームは、先進的なパフォーマンスと没入型体験により、モバイルゲーミングの再定義を行います」と述べ、「これらの次世代Snapdragon Gシリーズプロセッサは、メーカーやデベロッパーがイノベーションを起こせるよう、幅広いプレイタイプとフォームファクターをサポートすることで、ハンドヘルドゲーミングの未来を支えていきます」と語った。

Qualcommのアプローチは、市場を3つのセグメントに分割し、それぞれに最適化されたプロセッサを提供するというものだ:

  1. ハイエンドゲーミング(G3 Gen 3):Steam DeckやLenovo Legion Goに対抗するネイティブゲーミング体験
  2. ミッドレンジゲーミング(G2 Gen 2):バランスの取れた性能と効率を提供するゲーミングとクラウドゲーミングの両立
  3. クラウドゲーミング(G1 Gen 2):PlayStation Portalのような、主にクラウドゲーミング向けの手頃な価格のデバイス

競合との差別化ポイント

Qualcommの強みは、スマートフォンなどで培った電力効率の高いプロセッサ設計と無線接続技術だ。特に「Snapdragon G3 Gen 3」と「Snapdragon G2 Gen 2」に搭載されたWi-Fi 7対応は、クラウドゲーミングなどのネットワーク依存型ゲームプレイでの優位性を示している。

一方、AMDやIntelと比較した場合の課題は、x86アーキテクチャのゲームとの互換性だ。Snapdragon GシリーズはArmベースであるため、Windows向けに開発された既存のPC向けゲームをネイティブで実行するには課題がある。Qualcommはこの点を意識し、「Snapdragon G1 Gen 2」をクラウドゲーミング向けに、「Snapdragon G3 Gen 3」と「Snapdragon G2 Gen 2」をクロスプラットフォームゲーム向けに最適化している。

もう一つの重要な差別化ポイントは、Unreal Engine 5の「Lumen」技術のサポートだ。これにより、モバイルデバイスでもコンソールやPCに近い高品質なグラフィック表現が可能になる。「Snapdragon G3 Gen 3」に搭載されたハードウェアレイトレーシング機能と組み合わせることで、特にAndroidベースのゲーミングデバイスにおいて、これまでにない没入感のある体験を提供できる可能性がある。


Sources

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