Robloxは、テキストプロンプトから3Dオブジェクトを生成できるAI基盤モデル「Cube 3D」をリリースし、同時にオープンソース版も公開した。このツールにより、Robloxプラットフォーム上のクリエイターだけでなく、外部の開発者もAIを活用した3Dコンテンツ制作が可能になる。
テキストプロンプトから3Dオブジェクトを数秒で生成
Cube 3Dの初期バージョンでは、「メッシュ」が最初のツールとして提供されている。これはシンプルなテキストプロンプトから3Dモデルを数秒で生成するもので、「/generate a motorcycle(バイクを生成)」や「/generate orange safety cone(オレンジの安全コーンを生成)」といったコマンドで対応するオブジェクトを作成できる。
生成されたオブジェクトは現行のゲームエンジンと完全に互換性を持ち、Roblox Studio内でテクスチャや色を追加するなど、さらなる編集も可能だ。これにより、開発者は単純なオブジェクトのモデリングに時間を費やす代わりに、より創造的な作業に集中できるようになる。
Robloxのエンジニアリング担当バイスプレジデントであるNick Tornow氏は「3Dメッシュ生成により、開発者は新しいクリエイティブな方向性を素早く探索し、次に進むべき方向を迅速に決定することで生産性を向上させることができます」と説明している。
独自の3Dトークン化技術を採用
Cube 3Dの最大の技術的特徴は、3Dオブジェクトのトークン化にある。従来の最先端3D生成技術は画像と再構築アプローチを用いるが、Robloxはプラットフォームの特性を活かし、ネイティブな3Dデータでモデルをトレーニングしている。
言語モデルがテキストトークンをトレーニングして次の単語を予測するのと同様に、Robloxは3Dオブジェクトをトークン化し、形状をトークンとして理解して、次の形状トークンを予測するようCube 3Dをトレーニングした。シーン生成に拡張する際には、レイアウトを予測し、そのレイアウトを完成させるための形状を再帰的に予測する仕組みだ。

なお、トレーニングデータにはライセンスされた公開データセットとRobloxエコシステムからの体験データの組み合わせが使用されていると、Robloxの広報担当者Samantha Spielman氏はThe Vergeの取材で語っている。
オープンソース化により、誰でもCube 3Dをカスタマイズしたり、プラグインを開発したり、独自のデータでトレーニングしたりすることが可能になる。Robloxはオープンソースコミュニティへの貢献に積極的で、AIの安全性モデルも公開している。
「4D創造」を目指す将来の展望
Robloxはテキスト生成、テキスト読み上げ、音声認識などの追加AIツールを数か月以内に提供する計画も発表した。
テキスト生成ツールは、開発者がゲーム内にテキストベースのAI機能を追加できるようにするもので、プレイヤーがインタラクティブなNPC(ノンプレイヤーキャラクター)と会話できる機能などが含まれる。テキスト読み上げ機能では、ナレーションやNPCの発話、音声キャプションなどを追加でき、音声認識機能では、プレイヤーが音声コマンドを使用してキャラクターを操作するなどの操作が可能になる。
長期的には、Robloxは3Dオブジェクトとシーンを完全に機能的にする「4D創造」を目指している。「4D」とは第4次元として、オブジェクト、環境、人々の間のインタラクションを指す概念だ。
「メッシュ生成という最初のユースケースを超えて、シーン生成と理解に拡張していく計画です」とRobloxは述べている。例えば、森のシーンがある体験では、開発者がAIアシスタントに季節の変化を示すために木々の緑豊かな葉をすべて紅葉に置き換えるよう依頼できるようになる。
また、Cube 3Dは将来的に、テキストだけでなく画像入力からもオブジェクトを生成できるようになる予定だ。「最終的には、テキスト、画像、ビデオ、その他の種類の入力でトレーニングされたマルチモーダルモデルになり、既存のAI創作ツールと統合されます」とRobloxは説明している。
Roblox Studioの改善と収益化の拡大
Cube 3Dのリリースに加えて、RobloxはRoblox Studioのパフォーマンスと信頼性、UI、アセットマネージャーの改善など、複数の新機能も発表している。
Explorerが再構築され、数千のインスタンスを遅延なく管理できるようになった。また、UIの更新やアセットマネージャーの改善、リアルタイムコラボレーション機能の追加など、開発者の効率向上を支援する多くの機能が導入されている。
Robloxのプラットフォームは順調に成長を続けており、日々のアクティブユーザー数は21%増加し、第4四半期には8530万人が平均で1日2.4時間をプラットフォーム上で過ごしている。Robloxのクリエイターは9億2300万ドルを獲得し、前年比25%の増加を記録した。上位1000人の開発者は平均して82万ドルを稼ぎ、これは2019年から570%の増加に相当する。
さらに、Robloxは開発者向けの新しい収益化オプションも導入している。報酬付き動画広告がベータ版で提供され、今後より多くのクリエイターに展開される予定だ。これにより、クリエイターはユーザーにゲーム内の重要なポイントでより多くの価値を提供しながら、ブランド向けの高パフォーマンス広告を作成できるようになる。
Meta Description
Robloxが公開した3Dオブジェクト生成AI「Cube 3D」は、テキストから直接3Dモデルを生成しオープンソースで提供。メッシュ生成からシーン作成まで拡張予定で、開発者の創作効率向上とプラットフォーム成長に貢献している。
Sources