Qualcommのモバイル向けハイエンドチップセット「Snapdragon 8」シリーズは、毎年秋頃に開催されるSnapdragon Summitで発表されており、今年の開催が10月である事が公式にリークされている。そして気になるのはそこで発表される次期「Snapdragon 8 Gen 4」のその性能だが、いくつかの新たな噂では、印象的なGPU性能と共に、Qualcommが、ライバルAppleの次世代A18チップセットに対抗するために目標周波数を4.26GHzに設定する可能性が示唆されている。
『原神』を1080pでスムーズに動作させられるGPU性能
著名なリーカーDigitalChatStation氏によるWeiboへの投稿によれば、QualcommのSnapdragon 8 Gen 4チップセットは、驚異的なGPU性能を示す可能性があるようだ。彼は現在のハイエンドスマートフォンでも苦労する『原神』を例に取り、このゲームが1080pの解像度でもスムーズに動作する性能を示すと主張している。『原神』は美麗なグラフィックとゲーム性で有名だが、Galaxy S24 Ultra等のハイエンドスマートフォンでもスムーズに動作させるためにはグラフィック解像度を下げる必要があるほどパフォーマンスを必要とするため、これが1080pでスムーズに動作できる性能というのは印象的な話だ。
ただし、現状では『原神』は全てのスマートフォンAndroidで720pで動作するように制限されているため、1080pで実際に動作させられるかどうかというのはまた別の話になりそうだが。
TSMCの第2世代3nmプロセス「N3E」の採用で高い周波数を実現
AppleのM4チップの発表は恐らくライバルにとっては寝耳に水だったに違いない。前モデルM3の発表からわずか6か月足らずでの発表であり、実際のiPad Proの発表イベントの数日前までには噂すらなかったこの新チップは、実際に発表後にいくつかベンチマークテストの結果がリークされてからはその印象的なパフォーマンススコアで大きな話題となっている。
このM4チップの技術はAppleの次期iPhone向けA18チップでも採用される可能性が高く、そのためQualcommとしては少しでもこれに対抗するために性能を高めておきたいはずだ。最近リーカーの@jasonwill101氏はXにSnapdragon 8 Gen 4が微調整され、目標クロック周波数が4.26GHzに設定され、6月に再設計が完了するという噂を耳にしたことを報告している。この高い周波数はシングルコア・パフォーマンスの大きく貢献する可能性がある。
ただし、M4チップと同じ性能特性を示すと考えられるAppleのA18チップは、M4チップで採用されたArmv9でサポートされているSME(Scalable Matrix Extension)命令セットアーキテクチャ(ISA)への対応も予想されている。このISAのサポートが実際にM4チップの大きなベンチマークテスト結果の向上で大きな役割を果たした可能性も指摘されているが、QualcommのSnapdragon 8 Gen 4はSMEのサポートはないと言われている。
つまり、Snapdragon 8 Gen 4は複雑なワークロードの一部を効率的に実行できるISAのサポートがないことから、一部のパフォーマンスがA18チップと比較して劣る可能性が考えられると言う事だ。そのため、Qualcommとしては少しでも目標クロック周波数を高め、パフォーマンスのギャップを埋めたいのかも知れない。これを可能にするのがTSMCの第2世代3nmプロセス「N3E」だ。
ただし、クロック周波数の向上は熱管理の重要性も高めることになる。Galaxy S24 Ultraで搭載されたような巨大なベイパーチャンバーなどの効率的な冷却ソリューションが必要となることだろう。これをケチるとせっかく3nmプロセスを採用し、性能の大幅な果たせたとしてもそれを長時間維持できないA17 Proチップのような結果になってしまう可能性がある。
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