宇宙最初の星を探す新しい方法

2024年6月11日

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天文学の聖杯の一つは、最初の星を観測することである。現在、香港大学の天文学者Jane Lixin Daiが率いるチームが、これらの星を検出するための新しい方法を提案している。この方法が成功すれば、宇宙の起源に関する新たな窓を開くことができると期待されている。

宇宙で最初の星々はビッグバンの直後に形成された。天文学者はこれらを「種族 III（またはPop III）」星と呼ぶ。これらの星は、太陽や現代の宇宙に存在する他の星とはさまざまな点で異なる。主に新生宇宙の水素とヘリウムから形成され、非常に短期間で巨大なサイズと質量に成長した。その成長には代償があり、これらの星は核燃料を非常に速く使い果たすため、寿命が非常に短かった。しかし、核での融合とその死の状況により、水素とヘリウムより重い最初の元素が生成された。これらの新しい元素は、次世代の星の種となった。

11622 — 種族Ⅲの星は宇宙最初の星である。非常に質量が大きく、光り輝く星で、その多くが超新星爆発を起こした。(Credit: DALL-E)

では、なぜこれらの初期の巨大星を検出できないのか？一つには、それらが歴史的に非常に遠く、非常に早い時期に存在し、その光が非常に微弱であるからである。しかし、それは検出不可能というわけではない。天文学者は、それらを発見するための高度な方法と技術を必要とする。

最初の星を「見る」方法

Dai教授のチームは、これらの最初の星と近くのブラックホールとの関連を示唆する研究を発表した。簡単に言うと、Pop III星がブラックホールと相互作用する際に何が起こるかを調べたのである。基本的には、その星は引き裂かれ、飲み込まれてしまう。例えば、我々の銀河系の中心にある超大質量ブラックホールであるいて座A*は、定期的に近づきすぎた星を引き裂く。このような潮汐破壊現象（TDE）が発生すると、大量の放射が放出される。同じことが他の銀河でも起こる場合、そのイベントの光はどれほど遠くても検出可能である。これらの潮汐破壊現象のフレアは、古代の種族III星の存在を推測するための興味深く独特な特性を持つことが判明した。

20231204 subaru fig 580x535 1 — 異星人S0-6は、天の川銀河の中心にある超巨大ブラックホール、いて座A*に向かって渦を巻いている。S0-6は別の銀河から来た可能性が高く、超巨大ブラックホールとの相互作用によって食い荒らされるか、引き裂かれるかもしれない。(Credit: 宮城教育大学宮城教育大学/国立天文台)

「エネルギーの高い光子が非常に遠くから旅行すると、宇宙の膨張によりフレアの時間スケールが伸びます。これらのTDEフレアは、近くの宇宙の太陽型星のTDEとは異なり、非常に長い期間にわたって上昇し、減衰します」とDai氏は言った。

さらに、Dai氏の同僚であるRudrani Kar Chowdhury氏によると、宇宙の膨張によりフレアからの光の波長が伸びる。「TDEによって放出された光学および紫外線は、地球に到達する際に赤外線に変換されます」とChowdhury氏は言った。これらの放出は、新しい世代の望遠鏡が観測するために作られた光の種類である。

高度な望遠鏡を用いた最初の星の探索

この検出方法は、JWSTおよび今後のナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡にとって理想的である。どちらも赤外線波長を介して微弱で遠い物体を感知するように最適化されている。これらの望遠鏡は、ブラックホールに遭遇した不幸な長く消失したPop III星からの伸びた光を探し出すことができるはずである。特に、ローマン望遠鏡は広視野の機器を使用して、宇宙初期の時代に生まれた星からの微弱な赤外線光を集める。

RomanST — ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡のイメージ (Credit: NASA/GSFC)

天文学者は、これらの最初の星がビッグバン後約1億年ほどで形成されたと一般に受け入れている。過密な領域が水素とヘリウムで満たされ、重力崩壊を経験し始めた時期である。これらの最初の星の誕生場所で形成された星々は純粋な水素とヘリウム、つまり「金属を含まない」ものであった。これらの星は数百万年しか生存せず、爆発的な超新星として終焉を迎えた。（これに対して、太陽は約45億年存在し、赤色巨星となり白色矮星になるまでにさらに数十億年を残している。）これらの最初の星の内部で生成された重い元素は、宇宙空間に放出され、近くの分子雲を炭素、酸素、窒素などの元素で豊かにした。最も大きな最初の星の一部は、直接ブラックホールに崩壊した可能性がある。

これらの最初の星とその放出光（特に初期のブラックホールとの相互作用からのもの）を見つけることは、初期宇宙の条件についての驚くべき洞察を天文学者に提供する。これらの星が長い間消滅しているにもかかわらず、JWST、Roman、および他の望遠鏡は時間をさかのぼり、その微弱な赤外線光を見ることができる。Daiの方法がうまくいけば、これらの望遠鏡は毎年数十個の種族III星を発見する責任を担うことになるかもしれない。

Sources