多色LEDによってVision Proの2倍の解像度を実現したQ-PixelのmicroLEDディスプレイがVRに革命をもたらす

2024年6月19日

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AppleのVision Proヘッドセットは、3,386PPI（1インチあたりのピクセル数）と、超高密度な解像度を誇り、これはiPhoneのRetinaディスプレイの50倍もの密度を誇る物となる驚異的な物だが、米国ロサンゼルスを拠点とする「Q-Pixel」は、新たにこれを大きく上回る6,800PPIのmicroLEDディスプレイを開発した事を発表した。これは、XRヘッドセットに革命をもたらす可能性のある物だ。

従来のRGBを多色LEDで置き換える画期的な構造

有機EL（OLED）ディスプレイや、LCD、microLEDディスプレイなどは、ピクセルと呼ばれる画素によって構成されている。このピクセルは更に光の三原色である、赤、緑、青（RGB)のサブピクセルで構成されており、各サブピクセルの強度を制御し、これを組み合わせて様々な色を再現している。

テレビやPCなどの大画面ではこうした構成でも問題ないが、目と非常に近い距離に配置されるVRやARヘッドセットでは、各ピクセルがサブピクセルを収容したまま微細化することには物理的な限界があり、小型化しつつこれ以上の高解像度を実現することが困難になってきたのだ。

加えて、サブピクセルを組み合わせてピクセルを構成するというやり方も手間がかかり、超高精細ディスプレイの高価格化にも繋がっている。

もし、サブピクセルを組み合わせて色を再現するのではなく、それ自体が様々な発色を可能とする単一のピクセルでディスプレイを構築できれば、上記の問題は解決できるのではないか。そうした目標の下に開発は続けられてきた。

Q-Pixelは今回それを実現したわけだ。Q-Pixelのディスプレイは窒化ガリウム半導体によって実現した1つの多色microLEDピクセルのみで構成されている。無機材料から合成されたmicroLEDは、OLEDに比べて応答速度が速く、明るさが高く、寿命が長く、エネルギー効率が優れているという多くの利点を持っている。無機microLEDは理想的なディスプレイ技術と長く見なされていたが、これまで商業的な実現が難しかった。

Q Pixel 6800 PPI 3um color microLED — (Credit: Q-Pixel)

「世界最高解像度（6800 PPI）のアクティブマトリックスカラーディスプレイを提供することにより、Q-Pixelは二つの大きなマイルストーンを達成しました。第一に、microLED技術に基づく超高解像度のアクティブディスプレイを製造することが可能であることを証明しました。第二に、Q-Pixelは、我々のTP-LEDピクセル技術がOLEDなどの成熟したディスプレイ技術を超え、世界記録を更新するピクセル密度を達成することを示しました。これらの最新の成果により、Q-PixelはmicroLED分野の先駆者としての地位を確立し、見事なディスプレイの商業化に向けて進んでいきます」と、CEO兼共同創設者J.C. Chen氏は述べている。

情報ディスプレイ学会の年次シンポジウムで最近行われたこの技術のデモンストレーションで、Q-Pixelは世界最高解像度のアクティブ・マトリクス・カラー・ディスプレイを発表した。サイズは約1.1×0.55cm（0.4×0.2インチ）で、解像度は6,800PPI（約3K×1.5Kピクセル）を誇る。これは、Apple Vision Proの3,386PPIを遥かに超える解像度だ。

同社によると、このディスプレイの組み立て工程は、現在超高精細OLEDやmicroLEDディスプレイに必要とされているものよりもはるかにシンプルで簡単とのことだ。

Silicon Catalyst COOであるNick Kepler氏は、「Q-PixelはmicroLEDのパイオニアであり、独自のIII-V成長技術のおかげで、わずか一つのピクセルと電圧調整でフルカラーを実現しました。これにより、他のmicroLEDよりも高解像度、製造の簡素化、低コストを実現しています。彼らがSDIのDisplay Weekで展示するアクティブマトリックスディスプレイは、驚異的な6800 PPIを誇り、Apple Vision Pro（約3380 PPI）などの現在の最先端ディスプレイを遥かに超えています。Q-Pixelの技術がmicroLEDの潜在能力をAR/VRからスマートフォン、大型スクリーンまでのディスプレイ市場で解き放つことができることを証明しています。彼らのチームは非常に優れた能力を持っており、Silicon Catalystエコシステムは彼らが成功を収めるために必要な補完的な価値を提供できると信じています」と、述べている。

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