AMDのGPUOpenグループは、7月2日に開催されるEurographics Symposium on Rendering(EGSR)において、「Neural Texture Block Compression」と呼ばれる技術をについて発表する計画を明らかにした。“ニューラルネットワークを使用してテクスチャを圧縮し、データサイズを削減する”とされるこの技術は、昨年NVIDIAが発表した「Neural Texture Compression」を想起させる物だ。
AMDが目指す物はニューラルネットワークベースの圧縮技術とブロック圧縮の融合か
AMD GPUOpenは、Xへの投稿で「巨大なゲームパッケージをダウンロードすることを好む人はいません。我々の手法は、ニューラルネットワークを使用してテクスチャを圧縮し、データサイズを削減します。実行時の動作が変更されないため、ゲームへの統合が容易です」と、この新たな技術の概要を説明している。
現代のフォトリアリスティックなゲームにおいて必要とされる高解像度テクスチャは、ゲームのインストールサイズとVRAM使用量の増大を招く大きな要因となっている。こうした現状に対処するソリューションとして、NVIDIAは昨年、ニューラルネットワークを基盤としたテクスチャ圧縮の改善方法を提案し、30%の圧縮が可能とされる「Neural Texture Compression」(NTC)を発表した。
AMDが、今年ロンドンで開催されるEurographics Symposium on Renderingにおいて発表する、「Neural Texture Block Compression」も、AMDの説明によれば、ライバルのNVIDIAと同様にニューラルネットワークを使用するようだ。
「Neural Texture Block Compression」は、ニューラルネットワークを通じてテクスチャを圧縮することでダウンロードサイズを削減するよう設計されており、加えて、この技術をゲームに統合することは、実行時の動作を変更しないため容易であるとしている。
ニューラル圧縮がドライバレベルで機能し、幅広いタイトルを即座にサポートできるのか、それとも開発者がゲームごとに実装する必要があるのかは不明である。NVIDIAが昨年発表したNTCは昨年、同様の技術を説明する研究論文を発表したが、長期の開発期間や圧縮方法の課題により、まだゲームには登場していない。
NVIDIAのNTCは、ゲーム内のさまざまな材料タイプに最適化された複数のニューラルネットワークを採用している。同社の研究論文によると、従来のブロック圧縮方式と比較して、NTCはより小さいファイルサイズでより高画質を実現している。
しかし、NTCの使用には開発者のワークフローの変更が必要であり、DLSSや異方性フィルタリングなどの一般的なアンチエイリアシングやテクスチャフィルタリング方法をサポートしない可能性がある。また、NTCは従来の「BC」ブロック圧縮よりもはるかに高解像度の画像を生成するが、時間がかかる。NTCは4Kテクスチャを1.15ミリ秒でレンダリングしたのに対し、BCで4K画像をレンダリングするには0.49ミリ秒かかった。
AMDの手法も同様の結果を目指していると考えられるが、名称に“Block”と言う単語が含まれていることから、従来のブロック圧縮と、ニューラルネットワークベースの圧縮とが融合している可能性も考えられる。いずれにせよ、7月2日のESGRプレゼンテーションでさらなる情報を明らかにする予定だ。
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