OpenAIが独自に開発した検索エンジン「SearchGPT」のテストを開始した。このAIを活用した検索エンジンは、Web上の最新情報を用いて迅速かつ正確な回答を提供し、情報源を明示することを特徴としている。SearchGPTは、OpenAIの強力なAIモデルとWeb上の情報を組み合わせることで、従来の検索エンジンとは一線を画す新しい検索体験を提供することを目指している とのことだ。
SearchGPTは限定されたユーザー向けにテスト版から提供開始
OpenAIは、独自検索エンジン「SearchGPT」を、まずは少数のユーザーとパブリッシャーに提供し、フィードバックを集めるとしている。サービスのテストを開始するためには、ウェイティングリストに登録する必要がある。
SearchGPTは、ユーザーの質問に対して最新のWeb情報を用いて直接的な回答を提供する。この検索エンジンの主な特徴は以下の通りだ:
- 会話型インターフェース:ChatGPTと同様に、ユーザーは質問の文脈を踏まえたフォローアップの質問をすることができる。
- 情報源の明示:回答には明確な出典が示され、関連するWebサイトへのリンクが提供される。
- リアルタイム情報:最新の情報を取り込み、時事的な質問にも対応可能。
- 位置情報の活用:ユーザーの一般的な位置情報を考慮し、近隣のレストランや天気予報などのローカル情報を提供する。
- AIモデルの活用:GPT-3.5、GPT-4、GPT-4oなどのOpenAIの最新モデルを使用している。
OpenAIによると、この新サービスは検索専用で、OpenAIの生成AIモデルのトレーニングとは別の扱いになるようだ。そのため、サイトがOpenAIの学習データ用のクローラーをブロックしても、検索結果に表示される可能性があると言う。
OpenAIはブログ投稿の中で、「私たちは、パブリッシャーとクリエイターの活気あるエコシステムに取り組んでいます」と述べており、SearchGPTの開発に当たっては同社が提携しているパブリッシャーとの強固な協力関係の下に開発が進められていることを強調している。実際に、SearchGPTのエクスペリエンスの設計に際しては、パブリッシャーと協力して開発が行われ、Webサイト所有者が検索結果でコンテンツがどのように表示されるか管理する方法を提供しているとのことだ。
そうした良好なパブリッシャーとの関係を強調するように、OpenAIのブログ投稿ではThe Atlantic誌のCEOであるNicholas Thompson氏が、「AI検索は、人々がインターネットを利用する主要な方法の1つになるでしょう。この初期段階で、ジャーナリズムと出版社を尊重し、保護する方法でこの技術が構築されることが非常に重要です」とコメントしている。ただし、選ばれたパブリッシャーはOpenAIと“金銭的関係”のある提携を結んでいることには注意が必要だろう。
OpenAIのCEO、Sam Altman氏は、この新サービスがAIと高品質なコンテンツを組み合わせることの重要性を理解したものであり、同社が、SearchGPTが出版社やクリエイターにとっても有益なプラットフォームとなることを目指しているとしている。
これまでにGoogle等によって提供されているAIによる検索結果の要約機能などは、記事のリンクを強調しないため、パブリッシャーのWebサイトトラフィックを減少させる負の側面がある事が研究によって指摘されている。
こうした状況を踏まえてか、OpenAIのSearchGPTでは検索結果でソースを目立たせたり、積極的にリンクを貼ったりすることで、出版社のサイトやWebサイト全般へのトラフィックを促進することを目指しているとのことだ。だが、既にそこに答えが表示されているのに、更にリンクをクリックして改めてソースを確認しようとするユーザーがどの程度いるのかどうかは甚だ疑問ではある。
今回発表された特徴を見てみて、何か目新しい物が見受けられるかと言えば、その答えは否だろう。既にOpenAIの最大のパートナーであるMicrosoftがBingやCopilotで提示しているAIによる検索結果の表示や、GoogleのGeminiが提供している機能、またAI検索エンジンを既に提供しているPerplexityの機能と何ら変わりはない。実際にOpenAIが提示しているモックアップはCopilotによく似たものだ。その最大の特徴は、OpenAIが計画している“ChatGPTとの直接の統合”にあると言えるだろう。OpenAIは将来的に、このプロトタイプで最も成功した機能をChatGPTに直接統合する計画だという
だが、新しい検索エンジンの登場は、GoogleやBingなどの既存の検索大手に加え、Perplexityのような新興のAI検索エンジンに小さくはない影響を与える可能性があるだろう。しかし、AI検索ツールの精度や著作権の問題など、克服すべき課題も多く残されている。
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