Google Pixel 9シリーズの新型プロセッサー「Tensor G4」が、予想を下回る小幅なアップグレードにとどまる可能性が高まっている。複数の情報筋によると、Tensor G4は前世代のTensor G3からの改良点が限定的で、Googleのスマートフォン戦略における重要な転換点とはならない可能性が指摘されている。
Tensor G4のあまりに小幅な変化
Tensor G4の最も注目すべき変更点は、CPUコア構成の見直しだ。Tensor G3が採用していた9コア構成から、より一般的な8コア構成(1+3+4)に変更される。具体的には、1個のCortex-X4大型コア、3個のCortex-A720ミドルコア、4個のCortex-A520小型コアという構成になる見込みだ。
この変更により、シングルコア性能は約11%向上すると予測されているが、マルチコア性能の向上は約3%にとどまると見られている。Googleがこのような構成を選択した理由として、消費電力の削減と発熱の抑制が挙げられている。こうした小幅な性能向上については、既にリークされているベンチマークテスト結果からも窺える。
GPUに関しても大きな進化は見られず、Tensor G3と同じMali-G715 GPUを採用し、クロック速度を890MHzから940MHzに引き上げるに留まる見込みだ。
一方で、モデムに関しては改善が期待される。Tensor G4には新しいExynos 5400モデムが搭載される可能性が高く、Pixel 8に搭載されているExynos 5300モデムと比較して最大50%の消費電力削減が見込まれている。ただし、Pixel 9や今後のPixel 9a等の一部のTensor G4デバイスでは旧モデムが使用される可能性もあるという。
Googleが独自に設計したカスタムIPブロック(Edge TPU、GXP、BigWaveなど)については、Tensor G4でアップグレードされない可能性も高いようだ。これらのブロックは、AI処理やカメラ機能、セキュリティなどの重要な機能を支えているだけに、進化が見られないことは注目に値する。
Tensor G4の小幅なアップグレードの背景には、Googleが当初計画していた完全自社設計のチップ開発が遅れたことがあるとされる。そのため、Samsung Electronicsとの協力を継続し、Tensor G3を基にした最小限のアップグレードを行う方針に転換したと伝えられている。
このような状況から、Pixel 9シリーズの新機能の多くは、ハードウェアの進化というよりも、ソフトウェアレベルでの制限によるものである可能性が高い。そのため、これらの新機能の一部は、旧モデルにも移植できる可能性があると指摘されている。
Tensor G4の小幅なアップグレードは、Googleのスマートフォン戦略における一時的な停滞を示す物となる可能性がある。しかし、2025年に登場すると見られるTensor G5では、完全な自社設計チップへの移行と、TSMCの3nmプロセスの採用により、大幅な性能向上が期待されている。Pixelファンにとっては、Pixel 9シリーズよりも次の世代に期待を寄せる理由となりそうだ。
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