【2024年8月15日追記】
GoogleによるQi2を採用しなかった件に関する回答を追加しました。
本日、Google Pixel 9シリーズが発表されたが、大方の予想に反し、期待されていたQi2充電規格への対応が見送られたことが明らかとなった。Appleが次期iPhone 16シリーズにおいて、一部モデルで20Wのワイヤレス充電に対応するとの噂もある中、Pixel 9でのQi2見送りは筆者を含め、一部ユーザーからの失望を呼びそうだ。
Qi2規格の非採用は“間に合わなかった”ことが原因?
Qi2充電規格は2023年初頭に発表され、同年末に最終化された画期的な技術だ。この新規格は、AppleがiPhone 12から採用していたMagSafeに基づく技術で、磁石でワイヤレス充電時の接点を固定する事により、ワイヤレス充電時に接点がズレて充電が行えないというデメリットを克服した効率的で安全なワイヤレス充電を実現するための規格だ。特に、GoogleのエンジニアがQi2規格の監督に加わったことから、Pixel 9シリーズへの採用が期待されていた。
しかし、実際にPixel 9シリーズの実機で検証した9to5Googleによると、Qi2規格の特徴である磁石リングが実装されておらず、MagSafe対応アクセサリーを用いたテストでも、まったく磁力による吸着が確認されなかったとのことだ。Googleの公式サイトに掲載されている仕様の中でもQi2の記載は見られない。
Android AuthorityがGoogleにQi2の採用を見送った理由について問い合わせたところ、「古いQiプロトコルの方が市場で入手しやすく、Qi2に変更する具体的なメリットはない」との回答が得られたとのことだ。だが、実際の所、入手性に関してはGoogleの言うように古いQi製品の方が市場に出回っている数は多いが、Qi2への変更によるメリットは、上記の通り数多くあり、後半の部分に関しては同意しがたい。
Googleがこの決定に至った背景には、製品開発サイクルとQi2規格の最終化タイミングのずれがあると推測される。Pixel 9シリーズは例年よりも早い時期にリリースされたため、Qi2規格が最終化された時点では既に開発の後期段階に入っていた可能性が高い。仮に従来の10月リリースを維持していたとしても、Qi2規格を組み込むには時間的制約が厳しかったと考えられる。
この採用見送りにより、Pixel 9シリーズユーザーは内蔵のQi2対応機能を利用できないことになる。ただし、サードパーティー製のケースやアクセサリーを通じて、Qi2やMagSafe対応製品との互換性を確保することは可能である。しかし、これは本体に直接組み込まれた機能と比べると利便性や効率性の面で劣る解決策と言わざるを得ない。
業界全体を見渡すと、Qi2規格の採用はまだ限定的だ。現時点でQi2を搭載したAndroidスマートフォンは、HMDのSkylineのみとなっている。Googleのような大手メーカーがこの新技術を採用しなかったことは、Qi2規格の普及速度に一定の影響を与える可能性がある。
一方で、この状況は一時的なものである可能性が高い。技術の進化と市場の要求に応じて、GoogleはPixel 10シリーズでQi2規格を採用する可能性は十分にあるだろう。これにより、Android陣営全体でのQi2採用が加速する可能性も考えられる。
Sources
- 9to5Google: Google didn’t adopt Qi2 in the Pixel 9 series
- Android Authority: The Pixel 9 phones don’t support Qi2 charging, and Google told us why
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