SonyのPlayStation 4(PS4)とMicrosoftのXbox Oneというコンシューマゲーム機のエミュレーション技術が、急速な進化を遂げつつある。これまで困難とされてきた両機種のエミュレーションだが、最近の開発者たちの取り組みにより、複数のゲームタイトルが動作可能になるなど、大きな進展が見られている。特に、PS4の人気タイトル『Bloodborne』のエミュレーションが注目を集めており、Xbox One互換レイヤーの開発も着実に進んでいる。
PS4エミュレーションの最新動向
PS4エミュレーションの分野では、「ShadPS4」エミュレータの開発者であるGeorge Moralis氏が注目を集めている。Moralis氏は以前、初代PlayStationやPlayStation 2の有名なエミュレータであるPCSXとPCSX2の開発に携わった経験を持つが、そんな彼の最新の取り組みであるShadPS4は、Windows、macOS、Linuxをサポートし、複数のPS4ゲームタイトルの基本的なプレイを可能にしている。
特に注目を集めているのが、FromSoftwareの人気タイトル『Bloodborne』のエミュレーションだ。公式では1080p/30fpsが上限とされているこのゲームだが、ShadPS4を使用することで、RTX 4090搭載のPCで160fps以上での動作が確認されている。ただし、現時点では視覚的および音声的な不具合が残っているものの、開発は着実に進んでいるようだ。
さらに、モッダーたちがMoralis氏の成果に独自の改造を加え始めている。『Bloodborne』のウルトラワイドアスペクト比対応、Steam Deckでの動作、テクスチャのアップスケーリングなどが報告されており、中にはReShadeを使用したレイトレーシングの実装を主張する者もいる。これらの取り組みは、ゲーマーたちの間で大きな期待を集めており、公式では実現されていない機能や性能向上の可能性を示している。
Bloodborne以外にも、Moralis氏は『Gravity Rush』」『Devil May Cry 4』『Rock Band 4』などのゲームでShadPS4の動作を確認している。PS4のCPUがx86アーキテクチャを採用していることから、ShadPS4は厳密には「互換レイヤー」に分類される可能性もあるが、その進展は従来のエミュレータ開発と同様に注目を集めている。
Xbox Oneエミュレーションの進展
一方、Xbox Oneのエミュレーション分野でも新たな進展が見られている。最近発表された「XWine1」という互換レイヤーが、Windows上でXbox Oneゲームを動作させることに成功している。開発者たちによると、現時点で『Minecraft』『Peggle 2』『Sonic Mania』『Limbo』『Undertale』など、6つのゲームが完全にプレイ可能な状態になっているという。
さらに、『Forza Horizon 2』や『Forza Horizon 3』など、多くのゲームがタイトル画面まで起動できるようになっている。これは、Xbox Oneエミュレーションの可能性を大きく広げる成果だと言える。特に、Forza Horizonシリーズのような大規模なオープンワールドレースゲームが動作し始めていることは、XWine1の潜在能力の高さを示している。
XWine1の特筆すべき点として、Xbox Oneのバックワードコンパチビリティーゲーム(初代XboxやXbox 360のゲーム)も起動できる可能性が示唆されている。これにより、『Red Dead Redemption』や『Ninja Gaiden Black』など、PC版が存在しない古典的な名作ゲームへのアクセスが将来的に可能になるかもしれない。
Xbox Oneのゲームの多くはPC版も発売されているが、『Halo 5』のように、コンソール専用として残されているタイトルも存在する。XWine1の開発は、こうしたコンソール独占タイトルをPC上でプレイしたいというゲーマーの長年の願いを叶える可能性を秘めている。
PS4とXbox Oneのエミュレーション技術の急速な進化は、ゲーム保存の観点からも重要な意味を持つ。これらの取り組みにより、将来的にはハードウェアの寿命を超えてゲームを楽しむことができるようになる可能性がある。ただし、著作権の問題や法的な課題も存在するため、エミュレーション技術の発展と並行して、これらの問題に対する議論も必要となるだろう。
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